「技術は怖くない!」中小企業の社長が、超簡単に使えるテクノロジーを

2016年からソウルドアウトに技術顧問として参画した安武弘晃。安武氏は、創業期から楽天株式会社にかかわりはじめ、2016年まで楽天株式会社で常務執行役員として、楽天と地方の中小企業のネット活用を技術面で支えてきた立役者。そんな安武氏がソウルドアウトの技術顧問引き受けた理由とは?そこには楽天時代の経験やソウルドアウトの姿勢への深い共感がありました。弊社代表荻原と安武氏に、その理由と中小企業とテクノロジーの未来像を伺います。

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安武弘晃(やすたけ・ひろあき)

楽天の創業時に入社し、楽天市場の基盤である出店店舗様向けASPサービス「RMS」のシステム開発の立ち上げなど、数々のサービスに携わる。取締役常務執行役員として、国際化に向けた動きの旗振りをしながら楽天グループの開発全般を取りまとめ、2016年に退職。

安武氏が技術顧問を引き受けた理由

―――今日はよろしくお願いします。まず荻原さんが安武さんに技術顧問というご縁をいただくところのお話をお伺いできれば。

安武:荻原さんに初めてお会いしたのは、会食でしたね。

荻原:はい、そうです。安武さんにお会いできてテンションが上がって、初対面なのにいっぱい喋ってしまった気がします(笑)私たちは2014年ごろからシリコンバレーの視察を始めました。そこで知り合ったテックベンチャーの人たちを見ていると、マーケティング領域において、色んなものがどんどん自動化されようとしていたのを肌で感じました。そこで、「今のままではやばいぞ」という強い危機感が生まれてきました。そんな時に、安武さんをご紹介いただいたんです。

安武:ええ。

荻原:当時はテクノロジー領域を強化するのであれば、CTOを探した方がいいんじゃないかと周りから助言をもらっていました。でも実際は、CTOにどういう人を選び、どんなことを実施してもらうのが良いのか?すら全然整理できていなくて。それで安武さんにお会いして、ここぞとばかりに、ソウルドアウトがどんなビジネスをやっていて、どういう状況で、どういうふうに発展していったらいいのか、をご相談しました。安武さんにアドバイスいただきたいな…と。

安武:それで荻原さんのお話を聞いたら、私が好きで協力したいと思うエリアとソウルドアウトの事業が一致していたのがわかったんです。

荻原:ありがとうございます。実をいうと、安武さんとお会いできると聞いた時、もしかしたら技術顧問を引き受けてもらえるかもしれない…と自分の中で勝手な妄想をしていました(笑)。

安武:そうだったんですね。

荻原:安武さんがいた楽天は、地方の企業もどんどん成長させていきました。もしかすると、我々の理念とも近いので、安武さんと通じ合えるんじゃないかと勝手に感じていたんです。

安武:はい。ご一緒に仕事始めた結果、本当に共通点多いとわかりました。私、インターネットと「Power to the people」という言葉が好きなんです。もともとは一部の既得権益とか大きな資本を持ってる人だけができたことが、インターネットやITで情報が広がることによって色んな人に可能性が広がる。そういう機会の均等化で、世の中が変わってきたのが好きで。

荻原:そうですね。ロマンがあります。その考え方が楽天市場のサービスにつながるんですね。

安武:そうです、根っこは同じだと思っています。私は1995年ぐらいからインターネットがずっと好きで、楽天に転職しました。インターネットで情報のマッチングをして、地方からでもいいコンテンツを持っている人は、消費者に届けてビジネス的に成功できるという理念が好きでした。

荻原:まさに地方の可能性をインターネットで引き出すという感じですね。

安武:そうです。これは荻原さんがやりたいとことと同じだと、お話を伺った時に思いました。自分の価値観と同じ方向を向いていたのでお役に立てるかなと。それが技術顧問を引き受けた1番の理由ですね。

荻原:ありがとうございます。

安武:また、私が自分の時間をここに使いたいと思ったもう1つの理由は、「社員の皆さんが荻原さんを好きなんだな」とオフィスに来た時に感じたからなんです。

荻原:そうなのですね、ありがとうございます。

安武:会社の雰囲気がいいのは、とても大切なことだと思います。

ネットで物が売れるとはどういうことだったのか?

荻原:楽天さんの話でぜひ、安武さんにお伺いしたいことがあります。最初に、楽天市場に多くの店舗数が集まって大賑わいだったと思うんです。その頃、安武さんはどんなことを意識されていたのでしょうか?楽天さんがダントツのトップランナーで先駆者でしたので、他に真似できるようなサービスは無かったと思いまして。

安武:開発で最優先に考えていたのは、やっぱりお客さんですよね。地方のユーザーさんって、ITリテラシーがものすごく高い!という方ばかりではないじゃないですか。

荻原:そうですね。

安武:全員がITのプロフェッショナルである必要はないので、当たり前のことなんですね。ただそういう方がITの力 を使えないだけで、やれる機会を失っている。そのギャップを埋めるのが自分たちの仕事だと思っていました。だからお客さんの声を聞いて、もうボタンの配置のレベルから、どうしたら使いやすくなるかを考えて。

荻原:なるほど。

安武:1997年ごろなんて、インターネットで買い物なんかしない時代じゃないですか。だから、最初の頃は1日100件も売れてなかったんじゃないかと。ユーザーさんに一生懸命お店をつくってもらって、1件売れたら電話して一緒に喜んで。嬉しいから、もっと売れるようにするにはどうすればいいのか?商品を買った人はなぜそれを買ったのか?を調べて。使い勝手を良くするサイクルを繰り返していく。そんな毎日でした。

荻原:すごい!それはなぜ売れたのですか?

安武:まず、売り方が面白いんです。その時に楽天のページに載せていたのは、黄身に毎日、1本ずつ爪楊枝を刺していく写真を載せていました。爪楊枝をいっぱい刺しても黄身がしっかりして崩れない。こんなにしっかりした黄身の卵は、おいしいし、健康にもいい。このメッセージをビジュアルで伝えているんですよね。その結果、スーパーの安売り卵の3倍4倍の値段なのにどんどん売れて、鶏の卵を産むスピードが追いつかなくて、予約待ちになるほどでした。

荻原:まさに、金の卵ですね!素敵な商品があり、そこに熱意ある人たちがさまざまな工夫を重ねて提案していく。ユーザーも興味が湧いて、購入する。グッドサイクルですね。

安武:せっかく想いを込めていい商品を作っていても、欲しい人に届くための販路がないのでどうしてもビジネスをたたまなきゃいけないという場合もあります。本当は地方とか想いを持って面白い方がたくさんいらっしゃるじゃないですか。

荻原:本当にそうですね。特に地方には、素敵な商品をお持ちの企業が多数います。

安武:やっぱり地方って、物理的な距離がある以上はすぐに会えないという時点で情報格差があります。これをITの力で埋めて同じゲームのルールまで立ってもらうっていうところまで、サポートというか支援する。

荻原:それが、私たちの役割だとも思っています。

安武:コンテンツを消費者に知らせる広告とか、eコマースのプラットフォームとか、そういう方にとって、とても大切になります。だから、そこに行けない人をお手伝いするソウルドアウトのビジネスは、私は社会的に正しいと思っています。

荻原さん、技術は怖くないですよ。

―――今、安武さんがソウルドアウトに足りないものは、何だと思いますか?

荻原:たくさんありますよね(笑)

安武:まず荻原さんにお願いしたいのは、「技術は怖くない」って思っていただくことです。技術って何か特別なもので少し怖い感が世の中一般的にあるとは思うんですけど。

荻原:私もプログラミングを勉強しなければ…とは考えていたんですが、忙しいとか理由をつけて、優先順位が上がりませんでした・・・。

安武:エンジニア怖い、と思っている方もいますしね。やってみると意外に簡単なんですよ。でも、なんとなく難しそうなイメージがあるじゃないですか。まずどこからやればいいか分からない、とか。

―――荻原さんの中にもやっぱりハードルがあったんですか?

荻原:バリバリありますよ!興味はあれども、私から見ると難しくて特別なもの。その分、尊敬の対象でもあったりします。そのため実は安武さんにご紹介をいただいて、プログラミングの家庭教師をつけることにしました。

安武:正直、プログラミングの家庭教師をつけたいというご相談をいただいたときは、経営者に教えるって聞いたことなかったんで無理だと思っていました。それでも、教えたい人がいないかと声をかけてみたら、興味をお持ちの方が意外とたくさんいらして。

荻原:はい、その中のお1人に実際にお願いしています。その方から教わる内容はめちゃくちゃ面白くて分かりやすいです。その場でどんどん質問ができて、理解もしやすい。先々まで授業の予定を入れてますし、時間を割いていきますので、確実に身に着けたいと思ってます。

安武:また1年後に、ぜひ成果を聞かせてください。経営者の方が自ら勉強して、踏み出そうとされているのはすごくいいと思います。これを読んだ社員の方にも興味を持っていただけるといいですね。

荻原:そうですね。ド文系の私が覚えたら、社員のみんなもITにもっと寄っていくかもしれないですね(笑)。技術がわかったうえで営業に行けるようになると、説得力もあるし、より効果も出せるようになる、と思っています。

安武:でも技術はどうせ覚えたって1、2年で変わっちゃいますからね。大切なのは「技術は怖くないと感じること」と「勉強するモチベーション」だと思うんです

荻原:確かにそうかもしれません。根本が大切ですよね。今の私は、業務処理の効率を上げたり、細かく数字を分析したくて。それは人手よりもテックの方が優れてる。なのでテクノロジーを使い倒したい、くらいの気持ちです。

テクノロジーの進化は誰にも止められない

荻原:私たちは、お客さんが大好きなんです。私も地方に好んで行きますし、皆も積極的にお客さまを訪問します。訪問すれば社長からの相談を聞きます。我々は社長のニーズは理解していると思うんです。だからお客さまのニーズとテクノロジーの技術が今以上に距離が近くなれば、もっと素晴らしいサービスを提供できるはず。そんな世界を実現していきたいです!そう考えると、技術を学ぶことに対してモチベーションが上がりますし、社員の皆も勉強したい、と考えると思います。

安武:なるほど。

荻原:きっと技術を学ぶと、「じゃあこういうことができるんじゃない?」みたいなアイデアが現場の皆からもいっぱい湧いてくると思うんです。しかも現実に即したアイデア。フィードバックのループがさらに回る、みたいな。

安武:そうなったら素晴らしいです。

荻原:今はテクノロジーの進化によって、広告のターゲティング精度がものすごく高くなっています。マーケティング関連のツールも使い勝手がよくなってコストも下がり、自動化されていっています。だから、これまでマーケティングを考えたことがなかった方たちも、Webを使ってマーケティングが簡単にできるようになってきています。小さなカフェでも、BtoBビジネスでも、あらゆる方々に機会が訪れます。裾野がバーっと広がっていってる気がするんですよね。まさに、マーケティングの民主化、ですね。

安武:“民主化”はキーワードですよね。面白いことにテクノロジーって、みんなが好きであろうが嫌いであろうが、勝手に進化するんですよね。

―――どういうことですか?

安武:みんなが世の中を良くしようと思うと、結果としてずっとテクノロジーは進化していく。たぶんこれから先も。テクノロジーの進化はだれにも止められない。つまり、同じところにとどまるって言うのは実は同じところにいなくて、時代は勝手に進むので相対的に後退しているんですよね。

荻原:そうですよね。 素敵な世界ですよね!

安武:それを知っているか知らないかによって、できることが変わるじゃないですか。最先端のテクノロジーが地方に届くには、やっぱり少し遅れがあります。だから動く時代の流れを理解したうえで、新しい物をどんどん取り入れていく人が、場所にかかわらず活躍していくようにしていかなければいけないと思うんですよね。

荻原:なるほど。それって例えば、具体的にいうと、どんなケースですか?

安武:そうですね。ちなみに、ご両親はガラケーを脱出されましたか? (司会者に)

―――あ、はい。ちょうど今年、脱出しました。

安武:いいですね。ポイントは、なぜご両親はスマホを使われるか、ということです。

―――そうですね。周りの人も使いだして、連絡に困るようになったとからですかね。

安武:そうですよね。スマホというテクノロジーを使う、使わないというギャップを超えるには、そういう環境の変化があるんですよね。機が熟すというか。それと同じ構造がビジネスでもあると思います。テクノロジーだから使うべきだ、新しいからやるんだっていうのはたぶん機能しないんですよね。

荻原:確かに。恩恵を受けられる形に整える、というのが大事ですよね。

安武:はい、使えば確実に便利になる。ここにソウルドアウトのビジネスの根っこに近いものがあると思っていまして。例えば、地方のチラシとか、新聞の折り込みとかをやっていた人に、情報をもっと広く効率よくやる新たな方法があると伝えるだけで、その人が生活豊かになる可能性があるんですよね。ご両親のスマホと同じですよ。

―――とても分かりやすいです。荻原さんは、そういう中小企業さんのテクノロジー活用について、ギャップを感じることはありますか?

荻原:先日、私が代表理事を務めている一般社団法人ネッパン協議会のフォーラムで地方銀行や商工会議所、金融庁の方々とディスカッションしたんですね。その時に話題になったのが、中小企業の社長さんの「忙しさ」でした。中小企業の社長はマルチタスク。営業はするわ、銀行の振り込みやるわ、仕入れやるわ、モノを運ぶわ…そんな中で、ネットのサービスを覚えられますか?って。そんな簡単じゃないですよと。

安武:なるほど。

荻原:だから、その相手の状況を理解して、テクノロジーによって何を自動化するとか、直感的にその数字データを分かりやすく出すとか、そういう工夫をしないといけないですよね。

安武:そういうのはありますね。

荻原:それと中小企業はお金がないからITツールを買ってくれないってネット企業は言うけど、社長の車は、いい車でしょ?という話も出て。つまりお金が無いわけではなくて、ネット企業が投資対効果をちゃんと説明し切れてないだけなんだ、と。

安武:なるほど。

荻原:テクノロジーの知識を持って、投資対効果もすごく分かりやすく説明できて、彼らが持ってる課題を自動化しながら解決できる人になること。そういう人が、やっぱりITと中小企業の接着剤になると思うんです。

安武:テクノロジーって中小企業の外車を買う社長からすると、よく分からないし、見えない。それに投資したからといっても、皆からカッコいいって褒められるわけでもない(笑)だから、ソウルドアウトとして「テクノロジーを使うと、こんなにイケてる、カッコいい」と実感をもって、伝えていくともっとよいのかもしれませんね。

僕たちはテクノロジーに強い企業になりたい

荻原:私たちは、これから今まで以上にテクノロジーに強い企業になりたいんです。

安武:技術面でもっと支援していきたいと思っています。これが私の役割ですね。

荻原:ありがとうございます。自社のメンバーが今まで以上に技術を理解して、自社の製品を開発する。そして提案して販売でき、導入される。そして成果が出て、最後にお客さんが喜ぶ。ここまでたどり着くまでに、すごく時間はかかると思っています。でも1年かかろうが、3年かかろうが、ちゃんとそのゴールまでに行くぞ、っていう想いは強いですね。なので、焦らずにステップを踏んでいきたいと思ってます。

安武:でも、地方の中小企業さんとか今までやってこなかったことに対して踏み込む勇気を出すには、やっぱり助けがいると思いますね。未知のものに飛び込む勇気を出すためには、一緒にいてくれる人が必要だと思います。

荻原:はい、そうですね。ソウルドアウトは、「ともに覚悟する、ともに挑む」をスローガンにしています。一歩目を踏み出すぞ!リスクをとって、やってやるぞ!という人の挑戦に寄り添って、成長していきたいと思っています。

安武:とても意義深いと思います。

荻原:挑戦と言えば、安武さんは楽天を退職されてから、アメリカで会社を立ち上げていますよね。どうして日本ではなく、アメリカなんですか?

安武:いろいろと理由はあります。私、難しい方が楽しいと思うんです。危険な方、まともな方っていう2枚のカードがあるとするじゃないですか。だったら、私は必ず「まだ理解できていない危険な方」を選びます。当然失敗する確率も高いんですけど、それ自体が自分を伸ばしてくれる余地があると思っています。でもやってみて面白かったらいいかな、くらいの気持ちで。

荻原:まさに、安武さんこそ私たちが支援したい方そのものですよね。

安武:といっても私にとっては、アメリカでの起業というのは本当にめちゃくちゃリスクがある挑戦、というわけじゃないんですよ。おそらくアフリカで起業するよりは簡単なはずです。もちろん、リスクも考えてます。でも自分にとっての挑戦、だと思うんです。

荻原:確かにそうですよね。人と比べるのではなく、自分の中で比べるものですよね。私は中小企業の皆さんが、一歩踏み込み挑戦したら、「なんだ、やってみたらメチャ簡単」と言えるのがやっぱりキーワードだと思っているんです。

安武:なるほど。

―――私の両親のスマホと、同じ構造ですね。

荻原:後ろ側では、いろんなテクノロジーが動いていても、実際に利用者としては、簡単だと思える。最先端の技術をいかに分かりやすく使いやすくしていけるか。「メチャ簡単」と思える使いやすさに大きなポイントがあって、その問題を解決するのもソウルドアウトの役割じゃないかな、っていう気がしてるんですよ。

安武:そのポイントを超えると、やってみたら簡単じゃんって。その期待感を踏み越えたら、明るい未来がありそうですね。笑顔になれる方もたくさんいると思います。

荻原:そうですね。マーケティングは経営の中心に位置していくと思うんです。そこを支援したい。例えば、朝起きて社長がスマホを見たら、昨日の売上がパッとわかるマーケティング・ダッシュボートの提供とか。その数字推移を見て、素早く部下に指示を出せたり、社内連携がスムーズにできる状態とか。レポートも一瞬でパワポに変換されてみやすくしたり。手作業が減って、どんどん自動化がされていく。今までもやりたかったけど、忙しくてできなかったことが、あっという間にできるようになる。そんな世界ですね。

安武:ソウルドアウトの理念ですね。

荻原:はい。そういうダッシュボードを生活の中に組み込んで、社長の1日の時間の使い方を変える、みたいな。テクノロジーを使って、そんな未来も実現していきたいですね。

安武:そういうのも寄り添ってくれる方がいるから実現できる未来ですね。

荻原:はい、我々はそういう存在になって行きたいと思います。これからも是非、お力を貸してください。今日は本当にありがとうございました。

(公開日:2017年6月6日)