急成長の鍵はデジタルマーケティング専任担当者にあり。 新潟から、デジタルシフトで建設業界の変革を目指す。

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2019.10.23
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新潟県で約70年前より建設業を営む坂井建設株式会社。独自の住宅ブランドを展開し、急成長を見せる坂井建設は、業務効率化やデジタルマーケティングにも積極的に取り組み、3年で建築棟数を倍増させるなど成果をあげています。今回は、Uターンしてから同社へのデジタルマーケティング施策に取り組んできたマーケティング部部長、Webディレクターの古川和茂さんに、取り組みの詳細や成果を出すためのポイントについて、ソウルドアウト株式会社代表取締役会長CGOの荻原が伺いました。

 

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古川和茂(ふるかわ かずしげ)
坂井建設株式会社マーケティング部部長 Webディレクター

デジタルマーケティング施策等で、建築棟数を倍増

荻原:坂井建設さんは、独自の住宅ブランドを展開されているんですよね。

古川:はい、会社自体は土木事業をメインに創業していますが、2006年に住宅事業をはじめ、「ディテールホーム※」というブランドを作って実績を伸ばしてきました。私は主に、住宅事業のマーケティングを担当しています。特にデジタルマーケティング施策に取り組んでいて、広告ではチラシなどのリアルとWebの比率が8:2だったところを、今では2:8と逆転させました。業務効率化にも取り組み、2016年の入社当時80棟程度だった建築棟数を、倍の160棟まで伸ばしてきています。

荻原:倍増はすごいですね。古川さんはもともと何をされていて、どんなきっかけで入社されたんですか。

古川:私はもともと新潟生まれで、実家は鰻屋を営んでいました。将来は家業を継ごうと考えていましたが、高校生のときパソコンを触るようになったら面白くて。もっとこれを学びたいと思い大学に進学し、東京の会社でシステムエンジニアとして就職しました。

最初の会社では建設系の、工程管理や、配置の効率化などを行うシステムを開発していました。面白かったですが、段々とモノを販売してみたい、モノを売る仕組みを作りたいという気持ちがわいて、転職してECサイトの管理やレポートの開発、メディアの運営などに携わりました。

やりがいを持って働いていましたが、39歳になった頃、家庭の事情で新潟に帰ることにしたんです。いずれは帰ろうと漠然と考えていたので、その時期が早まった感覚でしたね。新潟で、今までのスキルを活かせるところがあればいいなと就職活動をしていたところ、坂井建設を紹介してもらったんです。

荻原:決め手は何でしたか。

古川:職種にはあまりこだわりがなくて、何をやるかより誰とやるかを大事にしていました。実は面接でホームページのダメ出しをしたんですが、社長も専務もすんなり受け入れてくれて。フランクで楽しく働けそうだと感じて入社を決めました。
 

ディテールホーム:https://www.detail-home.com/

アナログな業界にデジタルを導入できた秘訣

荻原:入社後はどんなミッションに取り組んだのですか。

古川:まず月に10件しかなかったホームページからの資料請求を倍にすることがミッションでした。

そもそも体制が整っていなかったので、手をつけ始めてから成果が出るのは早かったですね。ホームページを改善したり、大手メディアに出稿したり、他媒体に掲載してもらったりと施策を打ちました。ランディングページも制作し、質はともかく反響は増えましたね。

新潟県は一般的にローコスト市場と言われていますが、そこを狙っても、どうしても価格競争になってしまう。そこで弊社はローコストと富裕層の間くらいの価格帯を狙ったデザイン住宅というブランディングをしていきました。

荻原:最初のミッションをクリアしてから、どんどん業務範囲が広がっていった形ですか。

古川:そうですね。その後注力したのは、業界の生産性向上でした。建設業界は、業界自体がアナログなんですよ。広告だけではなく、連絡手段もいまだにFAXがメイン。メールを使えない職人さんもいる中、ITを取り入れてデジタル化を進めました。

最初にやったのはスマホの支給です。そこに既存の施工管理アプリ(ANDPAD)※を入れて、工事の進捗具合や図面などをアプリ上で確認できるようにしました。それまでは、工事現場の監督が四六時中、職人さんに電話しながらFAXを送っているような状態。全ての現場に目が届かず、トラブルが増えて結果的にお客様に迷惑をかけてしまうこともありました。加えて、工事中に図面が変更になったとき、どれが最新かわからず探すのに時間がかかっていました。こういった負の側面をツールによって解消しようと思ったんです。

荻原:いいですね。ただ、これまでアナログだったところにデジタルを入れることに、抵抗はありませんでしたか。

古川:幸い社長はシステム投資には積極的だったので、導入はしやすかったです。ただ、社員はデジタルに不慣れでアレルギーがある方も多いので、浸透させるのが大変でした。さらに、外部の職人さんたちへの説明が一番苦労しましたね。

荻原:これまでFAXなどでやりとりされていたら、いきなりスマホは戸惑いますよね。どうやって浸透させていったのですか。

古川:まずはアプリで現場の写真を撮ってくださいとだけ言いました。本当はもっといろんな機能がついていますが、毎日上がってくる現場の写真を見ているだけでも工事の進捗を共有できて、「なんとなく便利そう」と感じてもらえるのではないかと思ったんです。空気作りから始めました。

荻原:素晴らしい。クイックヒットを打っていくことが大事ですよね。

古川:そう思います。次は写真に絵を描ける機能を紹介し、楽しい感じを出しました。エンタメ的な要素を盛り込むことで、より触りやすくなると思ったんです。これまでもITに携わっていたので導入の難しさはよくわかっていましたし、鰻屋を営む両親を見ていて職人さんの気質もなんとなく理解していました。アプローチ方法をひたすら考えましたね。

実は最初に取引先にアプリの説明をした時は、誰も申し込んでくれなかったんです。どうしようか考えて、職人さんが集まる飲み会に行って「やってくださいよ!」って(笑)。

荻原:草の根活動をしながら広げていったんですね。

古川:飲みにいくようになってから、少しずつ登録してくれる人が増えました。社員の中にも便利だから使おうという空気が流れ出して、1年経った今では取引先のアカウントが250ほどに。アプリが普及したことで、最新の図面を探す手間が減り、作業工程もスムーズになりました。これまでは注文書や請求書も紙だったため、業者の方に会社まで取りに来ていただいていたんです。これもオンラインに変わり、移動コストも減りました。

※ANDPAD URL:https://lp.andpad.jp/

専任担当者の採用がデジタルマーケティング成功の鍵

荻原:デジタルマーケティングの方もお話を伺いたいのですが、広告の比率が大きく変わったのは、成果が出たことが大きいですか。

古川:そうですね。ソウルドアウトさんにも手伝っていただきながら成果が出せたので、広告予算も増えていきました。社長がシステム投資や広告投資に積極的だったのと、デジタルマーケティング周りを私に任せていただいていたのがありがたかったです。

2016年はトータル5000万円の広告宣伝費の半分以上を紙媒体や看板などに使っていました。しかしデジタルマーケティングで成果が出たことで、紙や看板の予算を減らし、自社ホームページに対する予算を上げたんです。すると、全体の広告宣伝費は減ったのに、反響は増やすことができました。成約件数も増えたので、効果的に予算を使えていると思います。

荻原:これはかなりすごい。古川さんに業務を一任されていることも大きいですよね。

古川:手前味噌ながら、私が成果を出せたのはWeb専任担当者として採用してくれたことだと思うんですよ。ある程度の会社規模がないと判断が難しいかもしれませんが、専任担当者だからこそ、自社のことを本気で考えたマーケティングができると思います。まず、担当者を採れる土壌を整備することが重要だと思いますし、やりきるという覚悟も大事だと思います。

建設業界の3Kに「かっこいい」のKを加え、改革を

荻原:最後に、今後の展望について聞かせてください。

古川:建設業界のイメージを変えていきたいと思っています。新潟に戻ってきて感じたのが、人が少なくて街に元気がないということ。そして、建設業界は人口減の影響を大きく受けているのではないかということでした。建設業界は、まだまだキツイ、汚い、危険という3Kのイメージが強く、働きたくない人が9割と言われています。これを解消していきたい。

たとえば、キツさは業務の効率化ができていないことが大きな要因です。ツールを導入してコミュニケーションがもっとスムーズになれば解決できる課題なのではないかと考えています。汚いというのも、キツさが解消できれば変わるはず。弊社は事務所もできるだけ綺麗にして、現場の大工道具をあるべき場所に戻すとか、机の上をまっさらにして帰るといった習慣を徹底しています。危険というのも、現場作業のイメージが強いからだと思うんです。現場でも安全対策はしていますし、同じ建設業でも営業も設計もデザインも色々な職種がある。そういう内情を伝えていけば、イメージを変えられると思っています。

建設業界に入ってきたのはたまたまかもしれないけれど、どうせならこの業界をよくしたいと思い始めているんです。だから、これまでの3Kにもう一つ「かっこいい」の「K」を付け足して、イケてると思ってもらえる業界にしたいです。

今私は、会社に認めてもらいながら、他県の建設会社でWeb集客のコンサルティングもさせていただいているんですよ。自社が成長したノウハウを他県でも展開することで、同じように成長させることができれば、取り組むべきだという空気感ができる。そういった空気を広げながら、業界自体の底上げをしたいと考えています。

荻原:業界のリテラシーやイメージが変われば、人は集まりやすくなると思います。まだまだ活躍の場がありそうですね。

古川:そうですね。かっこいいを付け足して、業界を変えていきたいです。

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