責任者自ら学ぶ姿勢が、社内にWebを浸透させた。強みを生かした差別化で、独自のブランドを追求する。

ワークス
2019.04.19
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企業の数だけ課題があり、ストーリーがある。「WORKS」では、中小企業が課題を乗り越えたストーリーを、伴走者であるソウルドアウトとの対談形式でお届けします。第6回は、日本製オーダースーツの製造から販売までを一貫して行う花菱縫製株式会社営業本部副本部長の星野雄司さんと、ソウルドアウト株式会社エグゼクティブコンサルタントの内田浩司さんにお話を伺いました。

 

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星野 雄司 (ほしの ゆうじ)
花菱縫製株式会社 営業本部副本部長
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星野 雄司 (ほしの ゆうじ)
アパレル業界を中心とした事業運営やマーケティングの経験を活かし、2014年に花菱縫製株式会社の直営店部門責任者として入社。以降、事業改革やブランディングを統括。リアル領域のマーケティング戦略策定と実行に加え、WEBマーケティングを統括・推進。
内田 浩司(うちだ こうじ)
ソウルドアウト株式会社 第一営業本部エグゼクティブコンサルタント
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内田 浩司(うちだ こうじ)
2008年、株式会社オプト入社。2010年ソウルドアウトへ立ち上げメンバーとして参画。2011年に静岡営業所を立ち上げ、帰任後、クリエイティブ組織の立ち上げ、新規事業(販売代行サービス)の立ち上げに従事。その後、営業部長を経て現職。現在、エグゼクティブコンサルタントとして活動。

決め手は信頼感と規模感

ーまず、花菱縫製さんの事業内容について教えてください。

星野:花菱縫製は、オーダースーツの製造から販売までを一貫して行う垂直統合企業です。現在、国内に5工場、19店舗を展開し、他社のOEMも行っています。日本のアパレルで、私たちのように国内に工場を持って縫製から内部でやっているところは、稀有な存在です。

ほとんどのアパレル生産はここ20~30年で工場機能を海外へ移しており、現在流通しているアパレル商材でも日本製は3%ほど。しかし私たちは相対的にはやや高いコストをかけても、日本で頑固に丁寧なものづくりを続けています。

私たちのつくるスーツは、決まった型に沿ってつくるパターンオーダー製の競合他社と比べ自由度が高く、本当に体に合ったものが作れるのが特徴です。

花菱

ーお二人は、どんなきっかけで一緒に仕事をすることになったのですか。

星野:もともと花菱縫製は、マーケティングの概念があまり浸透していない会社でした。きちんとブランディングをしていないので広告やWebサイト、店舗の雰囲気に一貫性がなく、「付加価値を付けて高く売る」ことができずに、目先の集客のために値下げをしているような状態だったんです。私の使命は、そこから事業再生のためのリブランディングを行うことでした。

ソウルドアウトさんとは私が担当になる前から広告配信のお取引があったのですが、一旦契約が切れて別の広告代理店さんにお願いしていたんです。しかしそこでなかなか成果が出なかったため、再びソウルドアウトさんにお願いすることにしました。

ほかの代理店も検討しましたが、内田さんと別の案件でご一緒したことがあって、人間的に信用できると思ったんです。わからないことがあっても知ったかぶりせず、きちんと調べてきてくれますし、反応が早かった。それから、ソウルドアウトさんと自社の規模感が合っていた点も決め手でした。主に大企業向けにデジタルマーケティングのサービスを展開する大手の代理店よりは、もう少し小回りが利くところの方が適していると思ったんです。
 

ポジションの見直しからブランディングまで、競合との差別化を図る

ー具体的には、どんな支援をしていったのですか。

内田:まず花菱縫製さんの強みを明らかにして、競合との差別化を図りました。敷居が高く、価格も不明確なイメージの強いオーダー業界の中で一線を画すため、「気軽に入れて、安心してオーダースーツを楽しめる」というブランドコンセプトを設定しました。

それに合わせ、ターゲティングも変更しました。既存客の取り合いを避けるため新規客に目をつけ、ターゲットを「オーダースーツ着用者」から「量販店の既成スーツ着用者」に変えたんです。

星野:今まで既製のスーツを買っていた人をターゲットに、製品、価格、店舗、プロモーションの4Pも見直していきました。

特に店舗を見てみると、駅から少し距離がある立地が多いため、明確に「花菱に行く」目的で来てもらう必要がありました。そこで、店舗でのプロモーションは接客体験の価値の向上や購入単価のアップに切り替え、集客はWebを使って行うことにしました。

花菱

ーそれまでデジタルマーケティングを行なっていなかった会社にWebを導入する中で、星野さんが工夫されたことはありますか。

星野費用対効果の見える化はすごく丁寧に続けてきました。効果をしっかりとした数字で伝えることは、社内へWebを浸透させるためにとても重要だと思います。さらに、伝えるときには図を付けたり、Web用語を分かりやすい言葉にリライトしたりしています。Webのことが分からない人でも理解できるようにするのが大事ですね。

内田:未だにほぼ毎日、代理店側では把握できない登録情報や来店情報などをレポートで送ってくれるんですよ。ここまでの会社は、他にはまず無いと思います。

ー成果はいかがでしたか。

星野先ほどお話した「今まで既製スーツを買っていた人をターゲットに」という作戦が上手くいき、全体の売上を前年より2桁増やすことができました。これまでオーダースーツをつくってこなかった、20~30代のお客様も増えましたね。

しかし、皮肉なことにうまくいきすぎてしまって。弊社の事例をみて、既製スーツ業界の大手資本企業などがオーダースーツの業界に乗り込んで来ました。最初の施策を行なってからここ2年ほどで競合の参入が増えてきて、市場の状況は厳しくなっています。

ー競合が増えてからは、どのような施策を行ったのですか。

内田:競合の中には、価格が花菱縫製さんより安いブランドがたくさんありました。そこに横並びで広告を出しても、ユーザーは安い方に流れてしまいます。「価格=価値」ではないんですが、Web広告だとどうしてもそういう心理が強く働いてしまうんです。そこで、花菱縫製さんが単独で表示されるような広告枠を狙い、安い価格帯の競合の広告と並ばせないようにするという方法を取りました。

他にも、記事広告やアンケート型LPの形を試すなど、ユーザーへのアプローチの手法も変えましたね。ターゲットは「量販店や百貨店の既成スーツ着用者」のままで、価格ではない、花菱縫製さんの持ち味である「品質の良さ」を活かした形に変更していきました。

星野:Webサイトも作り込みました。私は、オーダーメイドのスーツは、高級車や豪華な食事などと同じ「嗜好品」だと考えています。あらゆる嗜好品の中から私たちを選んでお金を使ってもらえるように、オーダー業界だけでなく、世界中のさまざまな商材のサイトやトレンドを参考にしながら作っています。

花菱
Webサイトはこちら:https://www.hanabishi-housei.co.jp/

ブランドの世界観の軸は残しつつ、デザインは季節ごとに変更していますし、新しい技術はいち早く取り入れてもらうようにしていますね。

Webサイトの制作も、ソウルドアウトさん、デザイン会社、制作会社とで横の連携を図りながら、チームで行なっています。1つの会社だけだと、全くSEOのことを考えていなかったり、ユーザーの導線が考慮されていなかったりする場合もある。チームだと、Web広告側、デザイン側、制作側からのさまざまな視点が網羅されるので、より良いものができると思っています。

 

一つのチームとして、ブランドの世界観を築く

ーお二方のお互いの印象を教えてください。

内田:星野さんは、マーケティングの知見はお持ちでしたが、もともとWeb畑にはいなかった方なので、最初はWebについての知識がない状態でした。そこからの変化がすごく大きかったですね。ご自分でどんどん勉強されて。

星野:私が花菱縫製のマーケティングを任せられたときは50歳でしたから、50歳にして新しい世界への挑戦だったんですよ。ハードルが高くて、できるなら避けて通りたいと思っていました。でもやるしかない状況だったので、本を何冊も読みながら、分からないところはミーティングの度に内田さんに聞いて、全部紐解いて教えてもらっていました。

Web会社の人でも、実はあまりWebに詳しくない人や、Web領域のマーケティングしか分からない人は多い。でも内田さんは、マーケティング全体の中にWebを位置づけて一緒に施策を考えてくれる、数少ない人でした。だからWebの活用をスムーズに進められたと思います。

さらに、本来の業務領域の外まで考えてくれるんですよね。パートナー企業同士の横の連携をとる中でもいろいろ協力してくれるので、そのお陰でマーケティング全体の整合性が取れていると思っています。

内田:ありがとうございます。僕は過去1,000社以上の会社を見てきているんですが、成果が出て業績が上がる会社には大きく3つの特徴があって。星野さんはそれを全部満たしていると思っています。

1つ目は、トップが意思決定をし、言ったきりにせず自ら推進していくこと。これは星野さんが自ら努力されてWebを学んだことからもわかると思います。

2つ目は、Web代理店や制作会社をパートナーとして捉えてくれること。どうしても主従関係になってしまうことが多いですが、星野さんはパートナーとしてしっかり人を見てチームを作ります。だから歴代の弊社メンバーみんな、星野さんが大好きなんですよ。施策をするのも結局人間なので、個人の感情が結果にも反映されると考えています。

3つ目は、役割分担がきちんとなされていること。花菱縫製さんのWebチームは、みんなそれぞれ得手不得手がある中でも上手に機能しています。星野さんが適切に舵を切っているので、チーム全体が回っているという印象です。

星野:内田さんにおっしゃっていただいたように、パートナーとして付き合う感覚は大事にしていますね。人の優れたところを見て、それを最大限に生かしながら信頼関係を築いていくべきだと思います。

ー最後に、今後の展望を教えてください。

星野:この春からは、ブランディングの一環としてメイドインジャパンであることを推し出す方向に動き始めています。業界の競争が激しい中で、オーダースーツの中でも独特のポジションを築いていきたいですね。

内田新しい挑戦を、きちんとWebで形にするのが僕たちの仕事だと思っています。世界観を大切にして、「オーダーといえばHANABISHI」と言われるような独自性を追求していきたいですね。今まで通り、密にやり取りさせていただきながら一緒に進んでいきたいです。

 

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