本業に注力していれば勝手にビジネスが回る時代へ。 freeeが目指す経営のデジタルシフトが、中小企業にもたらす未来とは。

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2020.02.25
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2019年12月に東証マザーズに新規上場したfreee株式会社。会計や人事労務、税務申告書作成のクラウドサービスを、中小・ベンチャー企業や個人事業主に提供しており、導入事業所数は100万を突破したそうです。今回は、「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションを掲げるfreee株式会社のCEOである佐々木大輔氏に、創業のきっかけや想い、中小・ベンチャー企業の経営課題を解決するための戦略について、ソウルドアウト株式会社 代表取締役会長CGO荻原猛がお話を伺いました。

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佐々木 大輔(ささき だいすけ)
freee株式会社 CEO
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佐々木 大輔(ささき だいすけ)
一橋大学商学部を卒業後、博報堂や投資ファンドのCLSAキャピタルパートナーズ、Googleなどを経て2012年7月にfreee株式会社を設立。2019年12月に東証マザーズに上場。日経ビジネス 2013年日本のイノベーター30人 / 2014年日本の主役100人/2015 Forbes JAPAN 日本の起業家BEST10に選出、2019年殿堂入り。
荻原 猛(おぎわら たけし)
ソウルドアウト株式会社 代表取締役会長CGO
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荻原 猛(おぎわら たけし)
1973年生まれ。中央大学大学院戦略経営研究科修了。経営修士(マーケティング専攻)。大学卒業後、起業。2000年6月に株式会社オプトに入社。2006年4月に広告部門の執行役員に就任。2009年に当社を設立し、代表取締役社長に就任。著書に『ネットビジネス・ケースブック』(2017年 同文舘出版 田中洋共著)がある。2019年3月より代表取締役会長CGO(=Chief Growth Officer、最高事業成長責任者)に就任。

会計のクラウド化が人材難や資金繰り課題にも貢献

荻原:すでにfreeeをご存知の方も多いと思いますが、改めて、事業内容についてお聞かせください。

佐々木:クラウド上で会計ソフトを提供する「freee」というサービスを展開しています。導入事業所数は100万を突破し、業種の偏りなく、従業員数300名以下の中小企業でよく使われています。

直近では、API※1(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を活用した外部サービス連携を強化し、よりご支援する幅を広げるための新戦略「freeeオープンプラットフォーム」に注力しています。この構想では、既に行なっていた会計の効率化・可視化に加え、freeeの持っている顧客基盤などのデータを活用して新しい価値を生み出すことを目指しています。

荻原:バックオフィス分野の効率化だけでなく、中小・ベンチャー企業の資金繰りの問題解決に取り組んでいるとお聞きしました。

佐々木:はい。資金繰りの問題解決は、会計データと相性が良いため、新しくサービスを提供しています。現在、銀行など金融機関からの融資を選択肢に入れられるのは、一定の規模があり、経理や財務の専任がいる企業がほとんど。人手不足に悩む企業は、資金繰りが苦しくても、膨大な資料の用意を目の前にすると準備段階で止まってしまう。そのような企業のために、会計データを基に現段階で融資可能な金額や条件が可視化されるサービスを始めています。

目指しているのは融資の申込みプロセスを簡易化すること。まず、自社の資金繰りを予測し、今使える資金調達手段を明確にしています。こういったテクノロジー活用の先には、「人工知能CFO」が経営課題にアドバイスをしてくれる世界に繋がっていくのではないかと考えています。

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荻原:地方の中小・ベンチャー企業が導入される際、どのような課題感があるのでしょうか。

佐々木:地方の場合は少し特徴的で、導入背景の一つに人材不足が挙げられます。例えば、経理部長が辞めてしまい、代わりの人を採用しようとしても専門知識を持った人間がなかなか見つからない。結果、業務に支障が出てしまう。そこで属人的になっていた業務をシステム化したいというニーズが発生し、クラウド会計ソフトのfreeeを使うといった流れです。

荻原:地方の中小・ベンチャー企業の採用に関する悩みは大きいですよね。ソウルドアウトでも人材難のご相談をいただくケースは本当に多いです。その際に、採用そのものを改善に走るだけでなく、業務の生産性向上、属人性排除が必要になるというのは重要な視点だと思います。

※1 API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース):ソフトウェアを外部から手軽に利用できるように提供する仕組みのこと

本業にフォーカスしていると自然にビジネスが回っていく世界

荻原:佐々木さんは、我々ソウルドアウトと同じく、中小・ベンチャー企業の支援に取り組んでいらっしゃいますが、そもそもどのような想いで創業されたのでしょうか。

佐々木私たちは「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションを掲げています。元々、freeeの創業前にGoogleで中小企業向けのマーケティング支援を行なっていたのですが、インターネットがスモールビジネスの可能性を広げていることを、すごく面白く感じたんですよね。インターネット広告を出すことで、代々継いできた取引先だけでなく、日本中、世界中に得意先が広がる。

私の実家が美容室で、スモールビジネスが身近にあったことにも影響を受けているかもしれません。戦後のまだ美容師が女性の仕事だと思われていた時代に、祖父が男性美容師だけを集めた店を開いたんです。男性美容師が珍しいということで一時期流行ったらしくて。そういう新しいイノベーションって、スモールビジネスだからこそ生まれやすいと思うんですよね。大企業の会議室で生まれるものではない。だからこそ、そういった新しい挑戦がどんどん生まれてくる世界を目指しています。

荻原:確かに、まずやってみようという機動力がダイナミックな成果につながることは多いですよね。「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションについて、ぜひ実現した世界の具体的なイメージをお聞かせいただきたいです。

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佐々木創業者が、本業にだけフォーカスしていると自然にビジネスが回るような世界にしたいですね。例えば陶芸家を例に挙げると、どれだけ作品のクオリティが高くても、マーケティングや在庫管理など、事業成長のために経営の実務知識やスキルが必要です。それを、作品のクオリティが高ければどんどんビジネスを伸ばしていけるような世界にしたい。ビジネス面を過度に意識しなくても、自分の得意な部分を突き詰めていくことだけで、誰でもある程度の経営ができる。テクノロジーを活用して、そのための土台を作っていこうとしています。そういったチャレンジが増えることが、社会にとっても良いのではないかと思うんです。

荻原:自分の得意なことや事業のフォーカスすべき部分に向き合う時間を増やしてあげるということですね。

経理処理作業が自動化されたことで、経営分析ができるようになった

荻原:地方中小・ベンチャー企業におけるfreeeの活用事例を教えてください。

佐々木:地方の製造業様で、freeeの導入によって、銀行の信頼を高めた事例があります。中小・ベンチャー企業では経理処理をどれだけ早く正確に締められるかによって銀行からの評価が変わり、それが資金繰りに影響するという現実があります。そんな中、元々手作業で経理作業をしていたところにfreeeを導入して、経理業務を自動化したところ、毎月の経理を締める期間が圧倒的に早くなり、銀行からの信用が高まり、資金を回しやすくなりました。

自動化によってビジネスの改善にきちんと向き合えるようになることも、非常に大きなポイントです。freeeを導入する前は、データ入力に時間がかかって、試算表などが完成したら終わりだった企業様が、データ入力に時間がかからなくなったことで、実際に完成した試算表を分析して経営改善に活かし始めたという事例もあります。経理作業を簡易化することで、作業自体の目的化を防ぎ、数字と向き合うことに時間を使えるようになる。数字を管理していると段々と見えてくるものが増えるのは、経営にとって大きなメリットですね。

荻原:まさに、経営状況を分析できるようになると会社のステージは変わりますね。勘や感覚、どんぶり勘定ではなく、自社の状況を正確に把握し、経営判断ができるようになることは大きな価値になります。

佐々木:あとは、成長フェーズに合わせた支援という意味では、ソウルドアウトさんのマザーズ上場はfreeeにとって一つの転換点でした。

荻原:弊社がIPOを計画している際、freeeさんにご相談し、会計サービスを導入させていただいたんです。監査法人にもチェックをしてもらいながら、上場審査に耐えうるようにプロジェクトを組み、無事に上場できました。

佐々木:当時は、ご支援していた企業様が成長した結果、「上場準備を始めるのでfreeeを止めます」という話が増えてきていたタイミングで、なんとかしなければいけないと考えていました。上場については、お客様の意向だけではなく、監査法人や取引所、証券会社の事情など、様々な課題を乗り越えなければいけません。それでも、ソウルドアウトさんから「全部一緒にやっていきましょう」と言っていただけたので挑戦できました。

当時、上場の際にクラウド会計では難しいという主張を覆すことは、クラウド会計で上場をした企業の前例がないという点が大きかったので、最初の事例ができるということに大きな意味がありました。一緒に実績を作れたことで、それまで反対していた人も「ソウルドアウトさんもそうだったんですね」と納得し、流れが変わっていきました。
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デジタルシフトで生産性を向上させ、組織活性化や人材確保を支援

荻原:最後に、今後のビジョンについて教えてください。

佐々木:freeeは、アイデアやパッションやスキルがあればだれでも、ビジネスを強くスマートに育てられるプラットフォームを目指しています。実現のプロセスには三段階あります。

第一段階は現在取り組んでいる会計のクラウド化の領域です。今後はさらにカバーできる業務範囲を増やして、業務の効率化、経営の可視化を実現していきます。第二段階は、第一段階で実現したことをベースにプラットフォーム化すること。これにはユーザーと開発者を結びつけることや、ユーザーとユーザーの取引をより簡単にすることも含まれます。API連携を通じて、顧客関係管理サービスと連携したりPOSレジ※2と連携したり、ご提供できる機能を広げていきます。そして第三段階は、freeeのデータを活用して、経営課題を直接解決できるソリューションを提供すること。会計データは資金繰り、人事データは採用などの課題解決に使っていくことを目指しています。

クラウド化によって生産性をあげるというと、小さなことだと考えられがちですが、実は組織の活性化や人材の確保といった本当に解決したい課題に直結しているんです。

荻原:やはりITの使命は生産性向上ですね。ある調査では、中小企業の労働生産性は大企業の半分ほどだと言われています。生産性が低いためにいい人材が採用できないという状況はもったいない。佐々木さんが掲げているビジョンは、地方の中小企業のデジタルシフトが進むことによって実現されていくのではないでしょうか。中小企業の経営を強くするためのプラットフォームとしてfreeeさんが果たす役割はますます大きくなりそうです。

佐々木テクノロジーを大企業しか利用できない時代は終わりました。テクノロジーを使って大企業との差を埋められる時代がもう来ています。現在は価格面でも中小企業が使える状況になっているのに、テクノロジー導入のメリットが知られていないのはもったいないことです。中小企業の明るい未来をもたらす鍵は経営のデジタルシフト。それを実現するためのプラットフォームとして、freeeをさらに発展させていきます。

※2 POSレジ:販売情報を管理するシステムを搭載したレジ。記録される情報を基に、在庫管理や経営に活かすことが可能。

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