2017年7月の上場と、その先の景色へ

ヒストリー
2018.01.19
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ソウルドアウトにとって節目となった、2017年7月12日の東京証券取引所マザーズへの上場(以下IPO)。IPOによって生まれた変化と、これからの展望について、荻原社長にお話を伺いました。

荻原 猛(Takeshi Ogiwara)
代表取締役社長
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荻原 猛(Takeshi Ogiwara)
1973年生まれ。中央大学大学院戦略経営研究科修了。経営修士(マーケティング専攻)大学卒業後、起業。2000年6月に株式会社オプトに入社。2006年4月に広告部門の執行役員に就任。2009年に当社を設立し、代表取締役社長に就任。著書に『ネットビジネス・ケースブック』(2017年 同文舘出版 田中洋共著)がある。

成長のための手段としてのIPO

Q:IPOに向かって具体的に動き始めたのはいつ頃でしょうか。
2014年の年末です。オプトの鉢嶺社長に「IPO考えてみたら?」と言われたのがきっかけでした。

それまで意識したことはありませんでしたが、会社の成長を考えたとき、上場には大きな意味があると思い始めました。上場することによって資金調達の幅が広がりますし、社会的な信用も高まります。つまり事業拡張を実現させるため、IPOを手段として活用しようと考え始めたわけです。そして翌2015年には上場に向けて動き出すことを決めました。

Q:社内にはいつ発表しましたか?
発表したのは2015年1月の納会でした。サプライズで「IPO」とだけ書いたスライドを用意して。壇上に立って、発表する時はちょっと緊張しましたね。でもスライドを見た瞬間にみんなが「うぉー!」と盛り上がってくれて。その様子を見てほっとしました。これならいけるなって。

「なぜIPOするのか?」という意識の共有

Q:実際にIPOに向けて動き出して、社内の様子は変わりましたか?
メチャクチャ変わりました。特に管理部門ですかね。しんどかったと思いますが、この審査プロセスを通じて、強い組織になっていったと思います。素晴らしい成果を残してくれたと思っています。というのも主幹事証券の選定時に、ある証券会社さんは「御社の管理部門を鍛えます」とプレゼンのときに言ってくれました。その言葉が決め手になって、その証券会社さんを選びました。他社さんは「うちにお任せください」とか「ご安心ください」みたいなプレゼン内容でしたが、あえて「鍛える」と言ってくれたのが心強かった。僕自身、管理部門の強化は事業部門の強化と同じぐらい大切なことだと思っているので。

それと会社全体のコンプライアンス意識もすごく高まりました。上場するということは投資家の皆さんが安心して株主になって貰えるように整えることでもあります。誠実な会社であることを全員が行動でも証明しないといけませんから。あとは、社内のガバナンス体制を整えることも苦労しましたね。この2年間で、ガバナンスがどれほど重要なのかよくわかりました。

Q:そういった苦労の中で、どのように社内のモチベーションを保っていたのでしょうか。
「どうしてこの業務をやっているのか」という意識の共有を徹底したと思います。「クライアントにもっと貢献するため、会社を大きくする。そのために上場がある」このような前提を皆に共有しないと途中で目的を見失ってしまうことだってあり得る。だから当時の口癖は「鉄の結束」でした。事業部門と管理部門が一致団結して、やりきる覚悟を持つことの重要性は、常に強調していました。
 

ようやく、みんなとここまで来れた

Q:IPOを達成したときは、どんな心境でしたか?
最後の最後まで、その日を迎えられるまで気を抜くことはありませんでした。証券会社の審査に通っても取引所の審査に落ちるケースもあります。だから当日もずっと緊張していて、1ミリも油断できませんでした。

やっと実感が湧いたのは、7月12日のセレモニーの体験でした。午前中に証券会社で挨拶を交わし、ひと段落してから東証へ出向きました。そして控室からセレモニーの場所に移動する際、みんなが出迎えてくれたんですよ。エスカレーターで僕が降りていったら、下で待っているメンバーたちが一斉に拍手してくれて。ちょっと泣きそうになりました。ようやくみんなとここまで来れたな、やっと上場できるんだと思って、背筋が伸びました。あのときの光景は、今でも鮮明に覚えてます。

その後、上場の鐘を鳴らすときは社員たちが総出で花道を作ってくれました。全員とハイタッチしながら、僕はずっと「ありがとう」って言ってた気がする。そこから先はあんまり覚えてないんですけど(笑)。それくらい幸せな瞬間でした。

Q:社外との関わり方にも変化はありましたか?
まず、ありがたいことに業務提携に関する問い合わせが格段に増えました。IPOしたことで知名度が上がって、初めてソウルドアウトを知ってくれたケースが増えたのではないか、と思います。

でもやっぱり根本的な部分は変わらずに、クライアントに価値を提供することが一番大事です。より大きな価値を届けることが成長であって、その成長に期待してくれるステークホルダーが、IPOによって増えたという認識。クライアントの方から「上場おめでとう。株買ったぜ」なんて言ってもらったときは緊張します。皆さんの期待を裏切らないためにも、今まで通り愚直に、誠実に経営していこうという気持ちになります。
 

これからのソウルドアウト

Q:2018年の展開について教えてください。
ひとつは全国展開ですね。営業所をもっと増やして、仲間をどんどん加えていきたい。今、大きな波として地方創生が叫ばれている中で、我々が貢献できることもあるはずだと思っています。地方の志ある優良企業が伸びていくことが、結果として雇用や納税が増える。それこそ地方にとって大きな貢献だと私は思っています。

もうひとつは、グローバルプラットフォーマーと中小企業を繋ぐことですね。テクノロジーの進化はとても早いです。その進化をうちのクライアントに提供し、十分な成果を持って返していきたい。またチャレンジとしては、日本にいながらにして海外のお客様にものを買ってもらえる越境ECのように、外需で稼げる中小企業を育てていきたいという気持ちもあります。

注力したいのはこのふたつですが、クライアントさんによってニーズは様々なので、どんな課題にも対応できる会社になっていきたいと思っています。人材を紹介してほしいと頼まれることもあれば、資金調達が課題の会社もある。成長フェーズに合わせたニーズに合致させて事業を広げ、お客様にとってなくてはならない存在になっていきたいです。「ソウルドアウトがいたから、今のうちがある」と言ってもらえるような、最高のパートナーになるのが一つのゴールですね。

Q:事業を広げていくにあたって、社員のみなさんにはどんな力が求められるのでしょうか。
まずひとつ、僕たちは中小・ベンチャー企業専業の会社なので、経営者と直接話す機会が圧倒的に他の広告会社さんよりも多いんです。だからこそ、ひとりひとりが経営視点を持って、クライアントのCMO(最高マーケティング責任者)になれるような人材を生み出せるように、教育に力を入れていきたいですね。
あとは、新規事業を立ち上げたいので、そんなアントレプレナーのような人材も育てたい。もしかすれば事業を分社化することもあるかもしれない。それをいい機会と捉えて、経営に挑戦してもらえれば嬉しいです。

Q:それに伴って、荻原社長ご自身も変わっていく部分はありますか?
より一層勉強して、常に先端にいなければならないって意識は強まりましたね。司馬遼太郎が大好きでよく読むんですけど、『坂の上の雲』の山本権兵衛の逸話ですごく印象に残ってるものがありまして。当時、日露戦争前に戊辰戦争の功労者、刀で戦っていた先輩方をばっさり100人ぐらい解雇しました。「先輩、もう刀はいらないんですよ」って言って。もちろん海軍の近代化のために、です。そして海外で先端を学んだ優秀な若者に総入れ替えしました。いやー、山本権兵衛すげえなって(笑)。この意思決定は相当苦悩したに違いありません。でもこういう風に、トップに立つ人間が過去の技術や思考に囚われたら終わりだっていう思いというか、恐怖感があるんです。常に学び続けて、最先端の知識に基づいて判断できるようにならないと、組織に貢献できないと思ってます。

Q:時には荻原さんご自身の自己否定も必要だと。
はい、常に自己否定ですね。あれでよかったのか、これでよかったのかって、ずっと問い続けています。今までは上手くいったからといって、これからの成長も延長線上にあるとは思っていないので。常に緊張感を持って、自分を追い込んでますね。

Q:IPOという目標を達成した今、次は何を目指していかれるのでしょうか。
今、みんなにそれ言われるんですよ。IPO達成して抜け殻になるんじゃないかって(笑)。でもやっぱり、IPOは目的ではなくて通過点ですから、抜け殻になる暇なんかはありません(笑)。一番大切なのは、お客様に価値を提供するために成長し続け、サービスの幅を広げ質を上げること。そのために次に目指すのは、グループの連携強化です。それぞれのグループにあるアセットをしっかり繋げることで、更に大きな価値を提供できる事例をたくさん作っていきたい。これこそがグループ化、連結経営の意味だと思っているので、今年はそこに注力して、更なる成長に繋げていきたいですね。
 

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インタビューの模様を動画でもご覧いただけます。

Feature_代表取締役社長 荻原 猛 (動画)
https://www.sold-out.co.jp/movie/20180417

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