成長に応じた経営チームを作る「組織戦略の要諦」 ①組織を支える経営チームの作り方

ヒストリー
2020.06.15
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この記事は、『SOUL of SoldOut 総集編vol.2』に掲載しています。

経営チームの作り方について教えてください。

まず、会社ごとに経営チームのあり方は異なります。ビジネスモデルや社長のキャラクター含め、どんなチームを作るべきかの正解は一つではありません。起業家がよくタイプ分けされるのは「キングとリッチ」。自らのコントロール力を高い状態で保ち、やりたい方向に進む「キング」なのか、やりたい事業は特にないけど、とにかく稼いで会社を大きくし、会社や自身が潤うことを目指す「リッチ」タイプなのか。このあたりは素直にどちらを志向したいのか決めるべきだと思います。

その上で、大きく経営チームの形は2つに分かれると思います。1つ目は、一人の強いリーダーとサポートメンバーで構成されるチーム。社長が掲げる企業のあり方、戦略に賛同した人が集まってくるようなイメージで、トップダウン型です。

もう1つが、一人に権限が集中しない合議制。会社の戦略によって集める人も変わります。合議制の場合、社長以外も権限を大きく持っています。社長に報告はするものの、意思決定が権限委譲された責任者に任せられた状態が理想です。

ちなみにソウルドアウトでは、2017年までは私がリーダーとして引っ張っていく組織でしたが、今後成し遂げたいビジョンを伝え、各分野を統括する経営チームが整った2018年から徐々に合議制へ移行しました。新規事業を増やす必要性など、会社のステージと経営チームの組織体制によって変わっていますね。
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経営チームに適する人はどんな人で、どう集めるべきでしょうか。

経営チームのつくり方には、内部昇格と外部採用があります。両者に共通することとして、もし自分が社長として経営チームを整えていく場合、まずおすすめしたいのは「自分と異なるタイプを巻き込むこと」です。それは、経営チーム内で同質性が高いと、牽制が効かず、誤った方向にいきやすいからです。経営チームには、ある程度多様性があったほうが良いと思います。

その上で、内部昇格と外部採用の2つの比率を考えます。比率については、一概には言えませんが、ソウルドアウトでは内部昇格は半分くらいが適切だと考えています。既存事業を管掌する取締役が内部昇格、新規事業や非連続的に発展させていきたい領域を管掌する取締役を外部採用で担う、というバランスの戦略をとっているイメージです。

外部から経営メンバーを採用する場合は、今自社にない能力をもっていることを重要視しています。ソウルドアウトの場合、リスティングが事業の中心だった頃から、マーケティング領域全般に強みを持つ人材を巻き込んでいっています。事業ドメインの拡張に応じて、それを率いるリーダーを採用して、それから組織を作るという手順です。リーダー人材はいつも足らない状況なので外部スカウト活動には力を入れていますし、内部でリーダーを担えそうな人物はいないか、社内でいつも目を光らせていますね。

経営チームを外から集める場合、どのように採用するのが良いでしょうか。

皆さまの中でも、「この人にお願いしたいな、同じ経営チームとして戦っていきたいな」という人が既にいるのではないでしょうか。重要なのは、そういった方々が実際に参画したくなるような魅力的なオファーを出すことだと思います。同じ夢を見ませんかとお誘いし、ビジョンを語ること。そして来てくれる際にお渡しする領域や権限。それから成長を実現するための戦略やビジョン、および、報酬などですね。

新規でこれから探す場合には、こういう人を紹介してほしいと言って回ることも重要です。人脈の形成は社長の仕事の一つ。ヘッドハンターでも知人でも良いので、リストを作って根気強くアプローチすることが重要です。やはり実績のある方を採用するとなると時間もかかります。現CEOの荒波やCMOの美濃部も参画してもらうまで数年かかっています。一緒に働きたい人には、年に何回か会食をして接点を持ち続けることが大事だと思います。

内部から抜擢する場合、どのような基準で選んでいますか?

「功ある者には禄を与えよ、徳ある者には地位を与えよ」という考え方を意識しています。西郷隆盛が引用していた言葉とも言われています。意味はシンプルで、功績をあげた人間には報酬を与え、人徳を持つものには地位を与えなさい、ということです。これは非常に納得感があって、長くマネジメントする人には人徳がないといけません。やはり、この人のためなら頑張ろうと思われる人は強いですね。

仕事をしていると、この人は役員候補だなというのはなんとなくわかるものです。そういう人には経営を教えていく、人脈を紹介していくなど、帝王学的な部分を意識して接することをお勧めします。一方で経営に近しい意思決定の場で活躍しないと実際の経営を理解することは難しい。そういった意味では、事業部のトップや子会社の代表など、実践的な経営の機会を任せることも重要です。
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経営チーム自体を成長させるためには、どんなことをすべきでしょうか。

ソウルドアウトでは、週一回常勤役員で議論の場を設けています。その時間や頻度が多いほど目線が合っていく。そのような機会を設けることが大事だと思います。その中では企業研究を行うこともありますし、自社よりも大きく成長している会社の経営者の方を外部から招いて、議論を深めることもあります。そのような形で工夫しながら、対話を促すことが重要ですね。

昨年11 月にメディアエンジン社(以下、ME 社)を連結子会社化しました。ME 社がソウルドアウトグループの一員になっていくPMI ※の際の幹部登用において大切にしたことを教えてください。

今回のPMIでは、ソウルドアウトか ら長谷川・杉岡という2名がME社の 経営陣として出向しました。登用で一 番こだわったのは、成果が出やすい体制を作ることです。

ソウルドアウトのオウンドメディア であるLISKULを統括してきた長谷川 (元ソウルドアウト上席執行役員)と ME社の知見が合わさると、より良いメディアができるのではないかと期待しています。長谷川はSEO対策の分野に知見があり、検索上位に表示される記事の制作ノウハウがあります。それに対して、ME社では2,000人のライターをネットワークし、制作ディレクションやコンテンツのクオリティーコントロールに関する知見とキャパシティーがある。両者がタッグを組むことで、自社やお客様のメディアの質・量を飛躍的に伸ばすことができると確信しています。

杉岡(元ソウルドアウト本部長)は、 西日本と東日本の両方で営業本部長を経験しているので、メディアとセール ス(営業)の繋ぎ込みができます。それによってME社社長の室谷を両脇で支え、経営統合と事業統合をスムーズに進める体制を作っています。

PMIではクイックヒット、つまり、短期間でそれなりの結果を出すことが重要なので、それができる人材を登用することが適していると思います。二人ともすでに結果を出していて、周囲も新しい体制を歓迎している。このまま一緒にやっていけば明るい未来が開けていく手応えがあります。まず、リーダーである役員が自らやってのけることで、社内外への好影響が生まれているのも前向きな要素です。

別の観点では、子会社で経営の経験を積むと、本体の役員をできるようになるのも大きいです。将来的には、グループ内だけでなく、クライアント様やパートナー企業様へ、ソウルドアウトグループの社員が役員として派遣されるということも、win-winのモデルケースになるのではないかと考えています。

※ PMI:ポスト・マージャー・インテグレーション(Post Merger Integration)。M&A後の統合効果を最大化するための統合プロセス。対象の範囲は、経営、業務、意識など統合に関わるすべてのプロセスにわたる。

パンくず