成長に応じた経営チームを作る「組織戦略の要諦」 ②経営トップを支えるNo.2の条件

ヒストリー
2020.06.16
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この記事は、『SOUL of SoldOut 総集編vol.2』に掲載しています。

荻原さんがNo.2の人選でまず初めに考えるポイントを教えてください。

まず大前提、「経営はチームで行うべきである」という理論を頭に置いておく必要があります。そして、P.F.ドラッカーは著書の中で「組織(チーム)の目的は人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和することにある」とチームの果たすべき役割を語っています。

一人ひとりの能力が最大限発揮できる「チーム経営」を行なうことが大切なんです。

理想とする「チーム経営」を実現するために、No.2 はリーダーにとってどのような存在がよいのでしょうか。

リーダーと正反対ぐらいであってもいいと思います。正反対というのは、能力や知識に関して欠けた部分や足りない部分を補完し合える存在のことです。例えば、リーダーが構想力をもっていて、情熱的で磁石みたいに多くの人を引き寄せる力がある人だとします。しかし組織で戦っていくときには、その力だけでは構想を実現することはできません。何をすべきか戦略を整えるNo.2が必要だと思います。反対に、リーダーがかなり現実的で、各論が好きな人だとします。No.2には、今行なっている仕事がどのような社会的な意義をもっているのか翻訳できるタイプがいいと思います。リーダーがどういう人かによって、No.2が持つべき要素は違ってくるんです。

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ほかにもNo.2が持つべき要素はありますか。

はっきりと意見を言えることですね。No.2は、リーダーが重要な経営判断を行なう際の相談役です。このなかには2つのタイプがあって、1つは、 リーダーの意志決定をもとに質問を重ねて輪郭を鮮明にしていき、決定事項のぶれをなくしていくやり方の人。もう1つは、リーダーの意思決定に対して批判的な視点をもってがつがつ提案していくやり方の人。リーダーがどういうタイプかを見極めて、コミュニケーションのスタイルをつくっていくのがいいと思います。

そんなNo.2 が、重要な役割を果たすのはどんなときでしょうか。

リーダーがマクロの流れを読み、大きな潮目を捉えて商売に結び付ける。No.2はタイミングを見計らいながらアクションプランに落とす、というようにフォローをする。リーダーとNo.2とがうまく組み合わさることで、外部環境の変化のスピードに対応した経営ができると考えています。

理想のNo.2 像として思い浮かべる人物はいますか。

司馬遼太郎の作品に登場する人物2人です。1人は、戦国時代から江戸時代前期にかけて活躍した武将、黒田官兵衛。もう1人は、幕末期の幕臣であり新撰組副長を務めた、土方歳三です。

二人はどのような人物だったのでしょうか。まず、黒田官兵衛について教えてください。

豊臣秀吉の軍師として知られる官兵衛は、凄まじく頭の切れる戦略家であり、優秀な実務家でした。官兵衛は参謀役として秀吉の考えていることを分かっていました。先回りもできるし、後ろにも回れる。勝つために知恵を絞り、とにかく最前線に立つ。たとえ捕らわれて幽閉されても主君を裏切らないで耐え忍んだ。そして「本能寺の変」で織田信長が討たれてしまったとき、官兵衛は秀吉に「天下統一の好機が訪れましたぞ」とささやきます。官兵衛は大局観を持って説明したつもりでしたが、ただタイミングが悪すぎた。結果「中国大返し」に繋がりましたが、知略がありすぎて秀吉に警戒されることになったんですよね。

土方歳三は、どのような人物だったのでしょうか。

新撰組局長の近藤勇の右腕として組織を支えた土方は、「鬼の副長」として最後まで幕府のため戦い抜いた武士でした。信念は「武士よりも武士らしく生き、新撰組を天下一の組織にして近藤勇の名を世間に轟かせること」。その信念に反することに情は一切挟まず、規律に反する者をすぐに殺したり切腹させたりしたようです。組織を大きくするというミッションに対してとにかく忠実だった土方のおかげで、新撰組はたった5年の活動期間であったにも関わらず、江戸時代の終わりに大きな影響を残しました。

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No.2 として活躍した2人に共通していることは何だとお考えでしょうか。

リーダーから託された仕事に対して とにかく忠実だったことだと思います。そして組織をよりよくスケールしていきたい、という純粋な想いがありますよね。そのためリーダーを立てる ために自らが矢面に立つ。そして時には嫌われ役となり、組織のために厳しい意思決定をする。組織は前進していかないと存続できません。泥臭いことも多いけれど、それを乗り越えるこの 2人の姿から、No.2として必要なことを学んだ気がします。

最後に、そんなNo.2 をもつためにどんなリーダーであるべきだとお考えでしょうか。

「Don't manage, Lead.」ですかね。直訳すると「管理するな、導け」、手を加えると「マネージャーではなく、リー ダーになれ」ということだと思っています。リーダーは文字通り、導く人。 大きな構想を持ち、目指す場所を指し示し、牽引する人。その世界観には、ついていきたいと思えるワクワク感があり、理由があり、一貫性があると思います。一方、マネージャーは、その方向に向かうように組織を仕切って前進させる人。それぞれの役割を認識して、同じベクトルを持って取り組んでいけるといいチームになると思います。

パンくず