テレビCMもCPAを算出する時代へ。 デジタルマーケティング同様にPDCAを回し“効果を出す”ためのテレビCMメソッド。

その他
2019.11.27
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「成長の踊り場」を乗り越えるマーケティング施策とは

多くの企業が一定の成長を遂げたのちに直面する、成長の鈍化。デジタル広告で顕在層を取り込んだ後には、売上が頭打ちになる「成長の踊り場」に直面することが多くあります。その時、企業はどんな施策を打つべきなのでしょうか。

ソウルドアウト株式会社は2019年9月11日、東京都品川区のラクスル株式会社でデジタルマーケティングセミナーを開催。ミッドファネル(潜在層)向けのマーケティングのプロフェッショナル、ラクスル株式会社取締役CMO・アドプラ事業本部長田部正樹さんと、ソウルドアウト株式会社取締役CMO美濃部哲也さんが経営者やマーケティング担当者に向け、成長の踊り場を乗り越えるための方法を伝えました。

今回は、実際にラクスルが「成長の踊り場」を抜け出した手法であり、現在は様々な企業にも展開している、テレビCMを中心に成長の踊り場を越えるためのマーケティング手法「“効果を出す”ためのCMメソッド」についてご紹介します。

 

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田部 正樹(たべ まさき)
ラクスル株式会社 取締役CMO/アドプラ事業本部長
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田部 正樹(たべ まさき)
大学卒業後、丸井グループ、テイクアンドギヴ・ニーズを経て、14年8月にラクスルへ入社。マーケティング部長を経て、16年10月から現職に就任。これまでのラクスルの成長を約50億かけてドライブしてきたマーケティングノウハウを詰め込んだテレビCM事業を立ち上げ、事業責任者を兼任している。

テレビCMで「成長の踊り場」を突破

ラクスルは「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンを掲げ、さまざまな新しい仕組みを作っている会社です。印刷、広告、物流と、これまでアナログが主流だった業界向けに、インターネットを活用した新しい仕組みを提供しています。

弊社が展開する印刷・広告のシェアリングプラットフォームが「ラクスル」です。全国の提携印刷会社の保有する印刷機の稼働時間を管理し、オンラインで印刷の注文を受けて印刷機が稼働していない空き時間に印刷してもらうことで、高品質な印刷物を安く提供しています。

現在はテレビCM事業も展開しています。テレビCMの裏側でデジタルの指標を活用する仕組みをつくり、デジタルマーケティングのようにPDCAを回し、CPAを追求し、広告効果の最大化を実現しています。最近ではテレビCMを1本からでも放映できるオンラインストアも展開しています。

ラクスルの中で、私が見ているのはマーケティング領域。私は、マーケティングと定義すべきなのはProduct(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販売促進)の4Pだと考えています。4P全てを掛け合わせ、価値創出と効果測定をしていく。そして、企業価値を決める売上高と粗利のうち、売上高を作る顧客数、購入回数、単価の3つを上げていくことがマーケティングの役割だと考えています。

マーケティング施策の成果としては、5年間で約50億を投下し、売上は19倍に増えました。
ラクスルのネット印刷はリピート商材なので、お客様1件を獲得するコストの方が、お客様1件あたりの利益よりも高いです。しかし、1年2年と購入し続けてもらうことで、回収コストによって売上を伸ばせる。数年間使い続けていただくことで利益を出すことができるのです。そのため、マーケティングでは短期的なコストは意識せず、回収コストが合っていればアクセルを踏んできました。5年前に私が入社した当初は粗利の多くを宣伝費に投下していましたが現在は落ち着いています。

最初は、デジタルマーケティングを中心にコストを投下しました。しかしすぐに、成長の限界を迎えたんです。デジタルマーケティングにおける市場規模は、インターネットでの検索数で定義されています。ラクスルでいうと、「ネット印刷」や「チラシ印刷」の検索数が市場規模。その中のシェアを拡大するのが基本的な施策でした。しかし、当時はネット印刷の最大手がラクスルの数十倍の検索数を誇っており、これはゲームオーバーだと思いました。

キーワードで勝てないとなると、サービス名自体での検索数を伸ばし、大手の検索数を超えていくしかありません。「ネット印刷といえばラクスル」と純粋想起してもらえる存在になるべく、リーチできる数に対してコストが安いテレビCMという手段を取ることにしました。

結果として、ここ5年で「ネット印刷」の検索数はほぼ変わっていませんが、「ラクスル」の検索数は飛躍的に伸びました。ネット印刷を検討する際に「ラクスル」を純粋想起して、指名検索してくれる人が増えたのです。限られた検索数の中のシェアを取り合うのもいいですが、デジタルマーケティングの限界を突破するためには、自分たちの会社やサービスが検索され、選ばれる状態を作らなければいけないと思います。

ラクスルの検索ワードの遷移

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私が定義しているブランディングとは、「比較されずに選ばれること」。伸びている企業は社名やサービス名の検索数が圧倒的に伸びているんです。カテゴリーを代表するような存在になり、知名度を取っていくことがブランディングだと思います。ラクスルは、結果的にブランディングに成功して比較されなくなったお陰で値下げをせずに商品を販売できるようになり、注文社数と顧客単価の両方をあげることができました。

価格の安い地方でABテストをし、大きなエリアに挑むテレビCM戦略

我々は、独自性と便益も兼ね備えたプロダクトができた状態で、テレビCMに挑戦しました。日本のテレビCMはリーチ数に対し価格が安いですが、それでもデジタル広告のようにうまくいかなかったらすぐやめることができませんから、お金はかかります。数億もかけてダメだったら元も子もないので、私たちは価格の安い地方で挑戦してから大きなエリアに挑むことにしました。冒頭でお話ししたように、私たちがやりたかったのは「ネット印刷といえばラクスル」と純粋想起してもらえるようにすることでした。例えばエリア別に差分をみたり、ターゲットと課題が明確なCMを使ってABテストをしたりと試みて、試行錯誤のうえ、ベストな形を見つけ出しました。最終的に、関東でタレントさんを使ってCMを放映すると、「ラクスル」の指名検索数を大きく伸ばすことができました。

テレビCMというと、デジタル広告と違って効果を細かく分析できないイメージもあるかもしれませんが、本当は小さく試してPDCAを回すことができるんです。狙う市場やターゲット、顧客に選ばれる理由をきちんと確立した上でしっかり運用すれば、効果は改善されていきます。潤沢な資金のある大企業は良いかもしれませんが、そうでない中小・ベンチャー企業は特に、まず小さく挑戦し、どの仮説が当たるのかを見ることが重要です。番組1本あたりからCMの枠が購入できるサービスも開始しているので、小さく当てて効果が出たものを、お金をかけて制作したり、関東で大量に放送したりして大きな効果を狙うべきだと思います。

私たちは自社で貯めたこのノウハウを体型化し、CMの制作から放映までを実現できるサービスを作りました。番組一本あたりからCMを買うことができるので、50万円という価格から始められます。さらに、しっかりと検証しながら効果の高いクリエイティブを作ることができるのがポイントですね。アイデアや便益を兼ね備えたプロダクトを持っている事業者様に、成長の踊り場を越えるための次のアプローチとして活用していただきたいと考えています。

最後にお伝えしたいのは、マーケティングとは、顧客に選ばれる理由を作ること。狙う市場を理解しコントロールしていくことです。

ターゲットと顧客価値を設定し、勝ち筋を見つけたら投資を恐れず踏み出してください。ただその前提として、しっかり予測して投資回収はしていきましょう。そして、指名検索を取れるようなブランディングをして、比較されずに選ばれるブランドを作っていくことを重視してください。これらの事例やノウハウを、自社のサービスに置き換えて考えていただけたら良いと考えています。

テレビCMをデジタルマーケティングのようにPDCAを回す取り組みを、SmartCMというサービスとしてソウルドアウトとの協業で展開していますので、ご関心がある方は是非ご連絡下さい。


「SmartCM」実施フロー

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