不確実性が高い時代、自立型人材の育成が企業課題に。グロービスが考える、新しい学びのあり方とは。

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2020.03.25
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スマホで簡単にビジネスナレッジを学べる「グロービス学び放題」。2016年8月のリリース以来、6万人を超える受講者、累計1,000社以上の法人企業に利用され、多くのビジネスパーソンの新しい学びのプラットフォームとなっています。株式会社グロービス グロービス・デジタル・プラットフォーム プロダクトリーダーの鳥潟 幸志氏は、サイバーエージェントからPR会社の創業を経て参画という経歴ながら、過去には学校の先生を志したこともあったそうです。サービス立ち上げの背景にはどのような思いがあったのか、中小・ベンチャー企業の社員教育はITでどう変わるのか。ソウルドアウト株式会社 取締役CMO 美濃部 哲也がお話を伺いました。

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鳥潟 幸志(とりがた こうじ)
株式会社グロービス グロービス・デジタル・プラットフォーム プロダクトリーダー
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鳥潟 幸志(とりがた こうじ)
株式会社サイバーエージェントでインターネットマーケティングのコンサルタントに従事。さまざまな企業のデジタルマーケティングを支援。その後、ビルコム株式会社を共同創業し、取締役COOに就任。10年間、経営全般に携わる。その後、グロービス経営大学院に参画し、小売・グローバルチームを経て、Edtech推進部門で「グロービス学び放題」のプロダクトリーダーを務める。
美濃部 哲也(みのべ てつや)
ソウルドアウト株式会社 取締役CMO
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美濃部 哲也(みのべ てつや)
1969年生まれ。1993年に株式会社電通に入社。その後、株式会社サイバーエージェント常務取締役、株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ取締役営業統括本部長、タビオ株式会社執行役員マーケティング本部長、株式会社ベクトル執行役員などを経て、2017年3月に当社に執行役員として参画。2018年4月より当社取締役CMOに就任。マーケティング、ブランディング、サービス立ち上げなどを通じて、中小・ベンチャー企業の成長を支援。

徹底的なPDCAで、学びの効率を最大化

美濃部:まずは、鳥潟さんがゼロからの立ち上げを経て事業責任者を務められている「グロービス学び放題」について教えてください。

鳥潟:グロービス学び放題は、スマホで簡単にビジネスを学べる定額制の動画学習サービスです。貸借対照表の読み方からリーダーシップまで、スマホ一台あれば、誰でもいつでもどこでも、ビジネスに必要な知識を動画で学ぶことができます。個人・法人両方のプランがあり、キャリアアップのための学習や社内研修など、用途は様々です。また、昨年11月には、英語版の「GLOBIS Unlimited」をローンチし、海外のビジネスパーソンに向けたサービスも始めました。

美濃部:サービスの特徴はどんなところでしょう。

鳥潟:一番は、「どうすれば視聴者が効率よく学べるのか」についてPDCAサイクルを回し、常に最適なコンテンツにブラッシュアップしている点です。

例えば、動画の長さ。人は7分以上集中して動画を見られないという研究結果があります。その前提のもと、3分から5分を基本とし、途中でどれくらいの人が離脱しているのかデータを集め、視聴完了率が明らかに低い動画は新しく作り直しています。

例えば、再生直後に視聴をやめる場合は「今、求めているテーマではない」と判断していることが想定されますが、再生後終盤に離脱する場合はコンテンツの内容に問題があるかもしれない。そういった仮説ベースで改善を重ね、現在動画の視聴完了率は90%以上を保っています。

また、学びの成果を最大化するため、コミュニティ作りにも取り組んでいます。具体的には、月に2、3回リアル・オンライン双方でユーザーが直接つながる時間を設け、参加者に目標や学習方法を共有してもらっています。また、会員同士が同じ場所で学んだり意見交換をしたり親睦を深める懇親会を催したりしています。同じ熱量を持った、学習意欲の高い方が集まっているので話が合い、モチベーションの維持にも繋がっています。

学生時代から抱き続けた、教育分野への憧れ

美濃部:鳥潟さんは会社の創業と経営に携わっていましたが、グロービスさんに参画し、今の事業を始めるまでにはどのような背景があったのでしょうか。

鳥潟:実は、学生時代から教育に携わりたいと考えていたんです。秋田の大館市という田舎の出身なのですが、中学の時にたまたま良い先生に出会い、自分の可能性を広げてもらい、知らないことをたくさん教えてもらえました。将来自分も先生になりたいと思い、大学で教育学部に入りました。

ところが、教育実習に行って歴史の授業を担当したとき、中学一年の生徒から「なぜ歴史を勉強しなくてはいけないんですか?」と聞かれ、答えられなかったんです。そんな自分が先生になっても良いのかと考えた時に、今ではないと考え、民間企業に就職することにしました。

その後、縁あって、当時から勢いのあったサイバーエージェント社と出会い、入社を決めました。組織で物事を進めることが面白そうだと感じたことに加え、自分の中のもう一つの軸として、人に何かを伝えるコミュニケーションに関心があったのも大きいです。田舎に住んでいると、知らないことで可能性を閉ざしてしまうことがたくさんあると感じていたんです。

サイバーエージェントでの仕事を通して様々な経験をさせてもらう中で、資本力(広告予算)がなくても、本当に良いものなら多くの人に情報を伝えられるPRに可能性を感じ、ビルコムというPR会社の創業に参画させてもらいました。

創業後は取締役COOとして新規事業開発、海外支社マネジメント、営業、人事など様々な業務に携わりました。3名で始めた会社は10年で70名を越えて大きく成長しました。海外にも展開でき、充実していましたね。

一方で、10代の頃から持っていた教育分野に携わりたい気持ちを忘れられない自分もいました。そんな中、30代になり、会社の創業からも10年という節目を迎えたので、改めて教育の道に進もうと決心し、グロービスに参画しました。

学校の教師になる道もありましたが、これまでビジネスパーソンとして歩んできた蓄積が、何かしらの想いを持って、事業をしようと考えている人の役に立つのでは、と考えたんです。私自身、起業を経験し、ビジネス上の様々な地雷を踏み続けてきました。その経験をもとに正しい情報を伝えられれば、経営者の方の失敗を減らせるのではと思ったんです。

グロービスへ参画後、最初はコンサルタントとして研修設計支援などを行いました。その後、学び方そのものが変わっていくフェーズであることを踏まえ、新しい教育のあり方を作りたいと思い、新規事業担当に手を挙げてグロービス学び放題の事業作りを始めました。

不確実性が高い時代、社員自身が学べる環境作りが重要に

美濃部:グロービス学び放題を提供する中で、特に喜んでいただけたお客様について教えてください。

鳥潟:個人と法人それぞれのプランで思い当たるお客様がいます。

個人の方では、介護業界の企業で働かれている方。自分の仕事の仕方に限界を感じていて自信がなくなっている中で、このサービスに出会いました。
その方が視聴したのはプレゼンの仕方に関する動画で、学んだ通り職場で役員の方向けにプレゼンしたそうです。それがうまくいったようで自信を取り戻し、他にもいろいろな挑戦をするようになり、その後管理職になったそうです。サービスを使ってもらって1年半のことでした。一時期は転職も考えていたそうですが、今も同じ会社で頑張っていらっしゃいます。

法人のお客様では在宅で訪問マッサージを提供する中小企業の会社さんが印象的でした。人を大事にされていて様々な制度やプログラムを導入しているのですが、その一環としてサービスをご利用いただきました。全国にスタッフがいらっしゃる会社さんで、研修をしようと思っても一箇所に集めるだけで非常にコストがかかる状況でしたが、オンラインに切り替えたことで、その削減ができました。動画視聴を促す仕組みづくりも上手で、例えば管理職の方々には、毎月視聴する動画を決め、その内容で自社に活用するレポートを出してもらう。提出されたレポートは人事評価の参考にもなるそうです。

もう一社印象的な取り組みとして、ニトリさんにも全社で導入いただいています。とても社員を大切にされている会社で、社員一人ひとりが自分自身でキャリアを掴み取って欲しいという思いから、全社員が在籍している間は永年利用できる制度を作っていただきました。

美濃部:全社員が、社員でいる限り永年利用可能とは、想いや覚悟の強さを感じますね。人を大切に育てる象徴にもなるので、採用にもプラスになる気がします。

鳥潟:そうですね。今はVUCA※の時代と言われていて、環境の変化が非常に早い。昔は3〜5年程度なら先まで見通せました。一社員であっても、与えられた業務をしっかりこなしていれば、ある程度成功していたと思います。しかし、一寸先の見通しも経たない今、変化に合わせて、会社員も与えられた業務のみをこなすのではなく、自分で自分のスキルセットを変えていかなければいけない。例えば、オペレーションの仕事をしている時、それだけに専念するより、マーケティングの知識をつけるだけで、世の中の変化に合わせて仕事の仕方を自分で変えられます。

どの会社も、そんな自立型の人間を作りたいという思いを抱えられています。そのためには、社員自身が学べる環境を整えることが大切です。

美濃部:同感です。働き方改革の本当の意味は生産性をあげること。同じ時間でもより多く、より良いアウトプットを生むためには、そもそもその人自身の知識が豊富でなければいけないと思います。だから自分の時間を使って、学ぶ機会をどんどん取り入れたもの勝ち。ちゃんと学べば将来的に二社、三社と業務委託で働き、一社でずっと働くという選択肢以外にも、幸せになれる選択肢も増えますよね。

鳥潟:おっしゃる通りだと思います。これからは常に学び続け、常にパラレルにスキルを開発していく姿勢が、個人にも必要ですし、会社にも必要だと思います。


※VUCA:Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)の頭文字。先行きが不安定・不透明・複雑・不確実な現在や未来の社会情勢を表現する言葉として使われる。

学ぶ楽しさを、日本から世界に

美濃部:それでは最後に、今後の展望を教えてください。

鳥潟:グロービス学び放題を通して、学ぶ楽しさを広げたいです。
新しい知識をインプットすると、ものの見方が変わってきて、今まで見えてなかったものが見えるようになります。仕事がサクサク進み、余裕が生まれた分、他の人の仕事を手伝えたり、もっと大きな仕事に貢献できたりする。個人的にはちゃんと学んで知識が深まってくると、人間関係がうまくいくようになり、家庭の関係もよくなると思います。やっぱり自分の中で目標があって、頑張って、人生がいきいきしていれば、周りの人にも優しくできるようになりますからね。当然、学ぶことで自分自身のキャリアの選択肢も増えます。世の中の変化に合わせて自分でキャリアを掴み取っていく自己効力感を感じられるとすごく幸せだと思います。

個人として、事業として、そのような学びによって起こる良いスパイラルを世の中に広めていきたいです。いきいきしている人を見て次の世代も憧れ、真似してくれるようになるとも思うんですよね。そうなるとどんどん学びへの姿勢が引き継がれていって、会社が強くなり、社会が強くなり、日本が、アジアが強くなっていくと思います。
もう一つ、グロービス学び放題をグローバルに展開したいと思っています。ビジネスのノウハウは普遍的でどの国にでも使えます。実際に、日英で事例は違えど同じことを教えています。前職で上海の拠点作りに携わった際、現地スタッフと仕事をする機会があったのですが、彼らの成長意欲は凄まじい。それ以来、グローバル展開、特にアジアに挑戦したいという思いは強いです。

あとは、やはり日本人として、日本から世界に発信するサービスを生み出したいという気持ちもあります。今、グロービス経営大学院は日本最大規模のビジネススクールで、アジアでもかなりの規模になっています。そんなビジネススクールを運営する会社が提供するサービスとして競合と刺激し合いながら世界に広げていきたいですね。

美濃部:今とこれからの未来にとって、大儀があって、しかも、可能性に満ち溢れたサービスですね。テクノロジーがこのような活用のされかたをしていくと、素晴らしいことが生まれていきそうですね。ますますのご発展を期待しています。今日はありがとうございました。

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