全国、全ての中小企業を黒字にするためにできることを追求する。3度目の正直で上場したライトアップの経営哲学とは。

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2020.05.22
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国が中小・ベンチャー企業支援の一環として提供する補助金・助成金・融資制度の中から最適なものをレコメンドしてもらえるサービス「Jマッチ」。自社の概要や経営課題を入力すれば、必要な情報がメールで届きます。会員社数は12,000社を超え、そのほとんどが中小・ベンチャー企業で、赤字の企業も多く含まれているそうです。

サービスを提供する株式会社ライトアップ 代表取締役社長 白石崇氏は2度にわたり東京証券取引所マザーズ市場への上場を延期した後、Jマッチを生み出し、3度目にして上場を果たしました。経営者として困難を乗り越えた背景にはどのような想いがあったのか、中小・ベンチャー企業はJマッチでどう変わるのか。ソウルドアウト株式会社 取締役CMO 美濃部哲也がお話を伺いました。
※このコンテンツは、2020年1月15日に対談・インタビューしたものです。

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白石 崇(しらいし たかし)
株式会社ライトアップ 代表取締役社長
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白石 崇(しらいし たかし)
1997年に筑波大学を卒業。コンピュータコミュニケーションを専攻。1997年に日本電信電話株式会社に入社。NTT東日本上野支店法人営業部にてSEを1年、営業を2年、プロバイダの企画部を1年経験。2001年に株式会社サイバーエージェントに入社しコンテンツ部門の立ち上げ責任者に。2002年に株式会社ライトアップを設立する。
美濃部 哲也(みのべ てつや)
取締役CMO
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美濃部 哲也(みのべ てつや)
1968年生まれ。1993年に株式会社電通に入社。その後、株式会社サイバーエージェント常務取締役、株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ取締役、タビオ株式会社執行役員、株式会社ベクトル執行役員などを経て、2017年3月に当社に執行役員として参画。2018年3月より当社取締役CMOに就任。

赤字企業が黒字になると日本が元気になる

美濃部:はじめに株式会社ライトアップのビジョンや事業内容についてお聞かせください。

白石:「全国、全ての中小企業を黒字にする」というビジョンを掲げています。

現在日本には会社が380万社あり、320万社ほどが平均社員数3.5人の小規模事業者です。そのうち63%、約3社に2社が赤字です。単純な計算で言えば、赤字の企業を黒字化することで法人税を増やし、仮に日本全体で100兆円の営業利益を出すことができれば、法人税だけでも40兆円増えます。そして、会社が利益をだすことで所得税も消費税も同時に増えるはずです。    
年間60兆円の税収が100兆円に増えれば、それだけで様々な社会問題に対して何らかの手立てを打つことができるのではないかと思っています。

全国全ての中小・ベンチャー企業を黒字にする。そのためには業務のIT化が必要です。経済産業省のデータによると、業務をIT化すると経常利益率が1.46倍に増える。手作業でやっていた作業をITにすれば、人手がいらなくなるので、当然ながら利益率は上がります。一昔前だと失業率も上がってしまうのでは、と思われたと思いますが、労働人口が減り続けている今、むしろ効率化は必要性に迫られていると言えます。

必要とされる一方で、IT化を阻む要因としては大きく2つだと考えています。1つは導入資金がないこと。もう1つは社内のIT人材が不足していることです。それらの問題を同時に解決するため「Jマッチ」という事業をはじめました。Jマッチは、年間で3,000種類程ある補助金・助成金・融資制度の中から、ぴったりの制度をレコメンドしてもらえる無料サービスです。
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美濃部:あなたの会社の困り事に対応するのはこの制度です、というマッチングをしてあげるわけですね。

白石:そうです。多くの補助金・助成金・融資制度は、長いマニュアルや、難しい言葉で説明されており、企業担当者ではどれが良いのかわかりません。自動で最適なものを選ぶ仕組みがあれば多くの企業に喜んでもらえると思いました。

サービスを利用いただく際は、各企業の資本金や売上、社員数などの基本情報と、経営課題、売上の増減や、離職率など具体的な情報を入力してもらいます。それだけで、個社別の状況に応じて該当する情報が自動で届くようにしています。

インターネット社会では与えられる情報量が人間の処理能力を超えています。情報の「量」より、その情報が最適かどうかの「質」が求められています。3,000種類の情報から、自動で選別した上で必要な情報だけを届けるようにしています。利用企業様は、営業、採用、勤怠管理サービスの導入や、社員研修の開催などにその資金を充当されることが多くなっています。

さらに、会社としてはJマッチの他にも多様なサービスを提供しています。いわゆるブラック企業では助成金がもらえないので、労務環境を整えるためのコンサルを行ったり、弊社の本業である各種ITツールの導入支援も行っています。

2度の上場失敗と、メイン事業変更

美濃部:2002年に創業され、2018年の6月に上場されていますが、それまでの会社の変遷について教えてください。

白石:創業初期はマーケティング支援を軸に、メルマガの制作やブログの構築といったサービスを提供していました。順調に成長し4年ほど経った頃、社員と相談し、上場を目指すことに。そこから半年で社員を倍以上に増やしました。すると小規模の事業運営では感じなかった、マネジメントや経営の苦労を感じるようになりました。

一人では目が届かない規模になると、いわゆる中間管理職が必要です。一方で、育成には時間がかかる。社内は大混乱でしたが、幸いにも景気が良く仕事には困りませんでした。最終的に、採用した社員数は90名を超えました。そしていよいよ上場の申請を出すタイミングになり突然、単月赤字に陥ってしまったんです。それからは、上場申請が出せる状況ではなくなりました。

その後は社員数が減り、売上も横ばいに。このままではまずいと思い、事業を受託制作中心から、自社開発したITサービスの販売に転換しました。具体的には、全自動のSEOツールを月額9,800円で提供しました。これは累計で3万件の利用がある大ヒットサービスになりました。そのビジネスモデルの転換が上手くいき、売上は回復。今度はITサービスの企画開発会社として上場を目指すこととなりました。
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しかし、提供先が赤字企業の中小・ベンチャー企業中心ということもあり、サービス利用料の支払いが滞るお客様が2〜3割ほどいて、債権の回収に追われるようになってしまいました。結局、受注はたくさんあるものの会計上は思ったように利益が上がらなくなり、2回目の上場も延期することに。その際、自身の経営スキルを向上させるには独学では限界があるのではと感じ、ベンチャーキャピタルなどが保有していた株式を、株式会社オプトホールディングに保有してもらい、グループ傘下に入ることにしました。

オプトのグループ会社になったことで、経営者として多くの学びがありました。私にとっては10年ぶりの上司です。予算未達時には真摯にアドバイスをしてくれたり、またグループ会社で年に数回集まっての合宿もある。他のグループ会社の成長の歩みを間近で見ることができ、うまくいく会社、いかない会社の特徴や傾向についても定点観測することができました。これはとても勉強になりました。

グループ会社の社長として働きつつも、上場の準備は続けていました。オプトグループに参画する直前にスタートした新サービス「Jマッチ」でしたが、何かきっかけがあって、赤字の中小・ベンチャー企業の支援がしたいと思ったわけではありません。多分私は自分自身が対象ターゲットの気持ちがわからないとサービス企画ができないんですよね。
会社を経営する中で、中小・ベンチャー企業の経営者の気持ちが分かるようになりましたし、そこで働く社員の気持ちも分かるようになりました。特に赤字の時の社長さんは、本当に生きた心地がしてないんです。それでもなんとか頑張ろうとしている社長さんたちの気持ちを考えたときに、サービスのアイデアが生まれました。

そして2018年、3回目のチャレンジで東証マザーズに上場することができました。
苦労した分、生み出せたサービスも多く、おかげで中小・ベンチャー企業をさまざまな側面からサポートできるようになったと思っています。

労務管理、資金調達、売上向上のための研修まで一括支援

美濃部:実際にサービスを利用した企業様の中で特に印象に残っている事例を教えてください。
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白石:とある電機メーカーのフランチャイズ店舗さんが印象に残っています。接客中心の本部研修をすれば売上が上がるとわかっていたものの、資金がなく着手できていませんでした。そこで、助成金を活用することに。ただし、労務管理はまだまだ未整備で助成金申請は難しい状況でしたので、申請する土台を作るため、まずは労務コンサルサービスを提供することにしました。コンサルの結果、改善のための勤怠管理システムを導入してもらいました。月に数千円しかかからない比較的安価なものです。

労務環境が整った後、実際に助成金申請を行いました。申請してから実際に助成金がもらえると確定するまでは2ヶ月ほどです。その店舗さんは、確定後すぐに接客研修を始められました。結果、社員スキル、売上ともに向上。労務環境の改善もできたので、社員の離職率低下にもつながっていると思います。

もう一つ印象に残っているのは、七島信用組合さん。伊豆七島に拠点を構える信用組合で、島内の企業のデジタルシフトを一緒に推進しています。実際に、八丈島や神津島など離島で商売を営んでいる会社の経営者を対象にした、ITツールや補助金・助成金の活用勉強会を開催し、多くの企業にご活用いただいています。これから弊社が運営している他のサービスの提供も行う予定で、小さな島の中小・ベンチャー企業が他の地域より先にIT化を実現すれば、他の企業や金融機関にとっても非常に良い刺激になると思っています。

「人材育成・IT活用の国、日本」を取り戻す

美濃部:それでは最後に、今後の展望を教えてください。

白石今のビジネスモデルを維持しながら、売上を100億円ほどにしたいです。そのためには年間10万社ほど支援する必要があります。それだけの企業様を弊社が支援できれば、その時はきっと日本に一つのムーブメントを起こせていると思うのです。

そのため、取引社数にはこだわっていきたいです。10万社といえば、現状の約3倍。規模の大きな会社に絞って、お客様あたりの単価をあげる戦略もあるかと思いますが、それはうちの会社のやり方ではありません。誰も気づかず、誰も作ってない、でもあったらいいなと思える、そういったサービスこそうちで作るべき。だからこそ、売上金額や営業利益ではなく、支援した会社の数にこだわりたいのです。

今や終身雇用ではなくなり、社員に投資する意識は薄くなりがちです。IT活用についても海外の方が日本より進んでいる。高度経済成長期には、多くの企業が社員教育に投資をし、生産性向上に予算を惜しみませんでした。再び、人材育成・IT活用の国 日本を取り戻せるよう、Jマッチを中心とした支援サービスを全国に広げていきたいです。

美濃部:中小・ベンチャー企業の中には、人材育成やIT活用に困っている企業は多くあります。必要性は認識しつつも、資金の問題で後回しになりがちでもありますので、ライトアップさんとの取り組みが、会社を強くするいいきっかけになるのではと思います。今後のご活躍も楽しみにしています。本日はありがとうございました。


■サービス紹介
公的支援制度(補助金・助成金・融資)活用支援サービス「Jマッチ/Jエンジン」

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