コールセンターもリモートで。AIが電話営業やコールセンターに起こす革命の実態。

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2020.07.14
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ビジネスに欠かせない、電話営業やコールセンターでのお客様対応。マーケティングなど他の分野と比べてデータ活用や成功の秘訣が可視化されておらず、属人的で労働集約的な側面も大きいため、社員の教育に頭を悩ませる企業も多いかと思います。

そんな課題を解決するために登場したのが、可視化することが難しいコミュニケーションを、AIを使って解析するサービス「MiiTel(ミーテル)」です。サービスのリリースから1年半で、中小・ベンチャー企業から大企業まで250社以上に導入され、その後も導入企業は加速度的に増え続けています。手掛けたのは株式会社RevComm(レブコム)。MiiTelはどんなサービスで、導入企業に何をもたらすのか。同社代表取締役の會田武史氏にお話を伺いました。

※このコンテンツは、2020年5月8日にオンラインで対談・インタビューしたものです。本文掲載中の写真は、一部実際の取材中の写真ではありません。

會田 武史(あいだ たけし)
株式会社RevComm 代表取締役
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會田 武史(あいだ たけし)
三菱商事株式会社に入社し、自動車のトレーディング、海外市場での販売/マーケティング施策の企画・立案・実行、クロスボーダーの投資案件・新会社設立、政府向け大口入札案件、M&A案件等に従事。2017年7月に株式会社RevCommを設立。

電話の「話し方」「話した内容」をオープンに

―御社の提供しているサービスについて教えてください。

「MiiTel(ミーテル)」という音声解析AI搭載のIP電話を提供しています。インターネット電話のため、固定電話などハードウェアが一切不要で、工事・メンテナンスなしでPCやスマートフォン1台あれば即時導入が可能です。

まずMiiTelで電話をすると、会話がすべて録音・文字起こしされ、どの担当者がいつ、誰と、何分何秒話したのかがデータとして残されます。会話の内容をAIが分析し「話し方」と「話した内容」の大きく2つを解析します。

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1つ目の「話し方」については、担当者が話している時間と聞いている時間の比率、沈黙の回数、相手の話に被せて発言した回数、会話のラリー数、話すスピードなど複数の項目が分析結果として表示されます。例えば、営業の世界では、お客様が話している速度と同じくらいの速度で話すのが良いと言われていて、それより早く話すとご理解頂けないですし、遅く話してしまうとイライラされて聞いてもらえなくなります。MiiTelでは、会話の速度だけでなく沈黙の回数など、複数の項目において、現状はどのように話していて、どこに課題があるのかを自分自身で確認できます。
 
2つ目の「話した内容」については、特定のキーワードを何回、どのタイミングで言っているのかが確認できるようになっています。重要なキーワードを言えているのか、コンプライアンス的に良くない言葉を避けられているかなどを検知することが可能です。更に、全文文字起こしされ、自動的に要約の上、システムに自動インプットされるため、電話後の業務が激減して生産性が大幅に向上します。
 
これまで、電話営業やコールセンターのオペレーターは、通話内容のニュアンスを上司や関係者に正確に伝えきれないという悩みを抱えていました。担当者の主観が入った報告を上司に行い、それを聞いた上司が間違った判断を下し、案件が失注になるケースも多かったそうです。

また、対面の約束の取り付けや案件を受注するために、どんな内容や話し方をすれば良いのかなどは具体的なノウハウとして共有することが難しく、新人へのトレーニングが難しいという問題点もありました。

MiiTelでは実際にどんなやり取りをしているのかはもちろん、担当者の話し方まで記録として残ります。担当者は、電話でのやり取りを上司に報告する際に、通話内容の中からポイントを抜粋して報告することで、認識のズレを防ぐことができます。また、あらゆる指標で話し方が解析され、理想とのギャップが分かるので、個々人で自分の電話の仕方を改善することができます。
 

企業が抱える普遍的な課題「通話内容のブラックボックス化」

―サービスを導入する企業はどの業界が多いのでしょうか?

地方・都心関係なく、中小・ベンチャー企業様から大企業様まであらゆる業界・業種に幅広く導入いただいています。導入いただく目的としては大きく3つです。
 
まず1つ目は、電話対応のブラックボックス化を解消するためです。電話担当者とお客様が何をどのように話しているかが分かれば、失注や顧客満足度低下の理由、担当者毎のパフォーマンスのばらつきの要因など、あらゆる「なぜ」が解明できます。逆にブラックボックスのままにしていると、いつまで経っても労働集約型の生産性が低い営業や顧客対応から抜け出せません。そのような課題感を感じている企業様に、MiiTelを導入いただいています。
 
2つ目はセルフコーチングを実現するためです。通話内容や話し方を定量化することで各々が自分のやり方を振り返り、自分自身でコミュニケーションを改善できるようになり、教育面の負担が大幅に下がります。例えばハイキャリア専門の転職サービスを手掛ける株式会社ビズリーチ様は、毎朝3本、結果を出している人の通話内容をすべての営業担当に聞かせてます。夕方には、その日自分が行った通話内容を振り返ってもらっているそうです。その結果、MiiTel導入4ヶ月でアポイント率が64%向上し、大変喜んでいただけました。
 
3つ目はリモートワーク体制を整えるためです。担当者目線で言うと、他のチームメンバーがどんな工夫をしているのか、ナレッジのシェアや、メンバー間でのコミュニケーションを活発に図るツールとして活用いただいております。管理者目線で言うと、各社員がどれくらい営業活動をやっているのか、どんな電話をかけているのかリアルタイムで確認するためのツールとして導入いただいております。現在は、新型コロナウイルス感染症の影響で、リモートワーク導入を進めている企業様が多く、それに伴ってMiiTelが急速に広がっています。規模や業種が幅広いにも関わらず導入背景が似ている理由は、我々が取り組んでいる課題が極めて本質的だったからと思っています。とくに、通話内容のブラックボックス化を何とかしたいという需要はどの企業も抱えているものだと思います。営業やコールセンター業務がある企業様には99.9%共感いただける課題です。

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―導入後どんな効果があるのか教えてください。

P/L(損益計算書)で考えると、P(利益)が上がったという効果と、L(費用)が抑えられたという効果のどちらもあります。利益が上がった話で言うと、アポイント承諾率の向上や成約率の増加があげられます。

一方、費用が抑えられた話で言うと、例えば電話機器が一切不要になることがあげられます。電話がなくなることで、いちいち電話番号を調べ、ボタンをプッシュする時間や電話代が削減されます。なにより電話内容がすべて文字起こし・要約・自動インプットされるので、大幅な工数削減にもなります。

また、教育コストが下げられることも費用を抑えられる要因です。これまで、ロープレなどで教育していた電話のかけ方が、セルフコーチングで改善できるようになると、その分教育コストが抑えられるのです。

お客様の行動様式を「変えない」サービス設計

―サービス設計の際にこだわったことはありますか?

お客様が、なるべく普段通りの業務オペレーションでサービスを利用できるようにすることです。いくら大きな課題感を抱えていても、解決するために複雑なシステム設計が必要なら、導入できる企業は限られます。だからこそ我々は、導入のハードルができるだけ低いサービスを目指しました。MiiTel導入の際に必要なのは、固定電話をインターネット電話に変えることだけです。後はシステムが自動で文字起こしから通話内容の解析まで行うので、電話をかける以外の操作は必要ありません。

システム開発のときから、どれだけユーザー目線に立って開発できるのかにこだわっていました。それゆえにシンプルなプロダクトになったのだと思っています。意識していたのは、iPhoneのように、箱を開けてすぐに使えるようなもの。とにかく直感的に使えるようにとサービスを作り込んでいきました。

開発自体は非常に地味でした。ユーザーがサービスを活用するためにどんな行動をとったのか、サービスを使い始める前後の行動と、その時の感情をすべて書き出しました。そのうえで、どうシステムを作るとスムーズに使ってもらえるのか、ストレスがないのかを考え、実装し、それをまたユーザーに使ってもらいフィードバックをもらう、の繰り返しでしたね。

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※オンラインインタビュー中の様子。

コミュニケーション領域の課題を解決し、多様な働き方をサポート

―最後に、今後の展望を教えてください。

今注力しているのはコールセンターにおけるMiiTelの導入です。密閉された空間の中で、複数のオペレーターが密に座り、朝から晩までひたすら電話をするコールセンターは、新型コロナウイルス感染症対策において、避けるべき「三密」の最たる環境です。今後は、その問題を改善するため「コールセンター業務は在宅で」という風潮が強まると考えていて、そのサポートを我々のサービスができればいいなと思っています。都心にオフィスを構える企業様にとっては、コールセンターを作るだけで莫大な費用がかかりますので、その削減にも貢献できると思っています。

また、コールセンター業務だけでなく、リモートワークにおける電話業務全般をサポートするツールとして導入企業を増やしていきたいとも考えています。背景には、リモートワークにシフトする企業が今後ますます増えるだろうという予測があります。例えば、全世界的にSDGsへの貢献が求められていることも理由のひとつです。物理的な空間や移動に依存しない働き方は、パンデミックを防いだり、災害発生時に事業を止めず必要な人にサービスを届け続けることにもつながります。また、移動を伴わないので車や公共交通機関の利用が減り、CO2削減などにも貢献できると思っています。

また、暮らしの点でもリモートワークは推進されると思っています。地元で暮らしたいというニーズがある中、東京一極集中の働き方が果たして本当に幸せなのだろうかと疑問を持つ人が増えていくと思います。通勤や移動時間にストレスを感じていた方、育児や介護で時短勤務をせざるを得なかった方の考え方も変わり、必然的に地方でリモートワークをする人も増えると思うのです。

私自身、創業当初からリモートワークが今後当たり前になると思ってきました。我が社は立ち上げ期からフルリモートで運営していますし、オフィスは東京にありますが、社員の第一号は滋賀県在住のエンジニアです。周りからはこの体制に反対されましたが、私は当時から、世の流れ的に正しい判断をしていると思っていました。

これからも、定量化の難しいコミュニケーション領域で起きている課題を解決し続け、多くの企業様のお役に立てるよう、サービス・組織の改善を積み重ねていきたいです。

■サービス紹介
電話営業や顧客対応を可視化する音声解析AI搭載型のクラウドIP電話「MiiTel」

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パンくず