経営者の想い、企業の魅力を物語に紡ぐ。 中小・ベンチャー企業の可能性を飛躍させる伴走者。

プロフェッショナル
2018.06.07
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自分の仕事に誇りを持ち、専門性を追求する。「Professional」では、各領域の専門家に迫ります。今回は、ブランディングのプロフェッショナル、ソウルドアウト株式会社取締役CMOの美濃部哲也(みのべてつや)さんにお話を伺います。

インタビューの模様を動画でもご覧いただけます。

Professional_美濃部 哲也 (動画)
https://www.sold-out.co.jp/movie/20180522

美濃部 哲也(みのべ てつや)
取締役CMO
プロフィールをみる
美濃部 哲也(みのべ てつや)
1969年生まれ。1993年に株式会社電通に入社。その後、株式会社サイバーエージェント常務取締役、株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ取締役、タビオ株式会社執行役員、株式会社ベクトル執行役員などを経て、2017年3月に当社に執行役員CSOとして参画。2018年3月より当社取締役CMOに就任。

イメージを形づくり、想いを広める

ー数々のベンチャー企業で経営者の側近を歴任されてきた美濃部さんですが、ご自身の強みはどのようなところですか。

私の強みは、企業の経営戦略や事業戦略の策定からマーケティング、ブランディングまで一気通貫で行うことです。具体的には、まず市場を細分化してターゲットを絞り込み、会社やサービスの位置づけを明確にします。ポジショニングが決まったら、メッセージを言語化、ビジュアル化し、ストーリーを作ることで、ブランドとして広めていくという流れです。

ブランディングにあたっては、社会の中での会社の存在理由を表すミッション、数年後に会社がどうなっていたいかを示すビジョン、行動規範であるバリューの3つを決めることが大切です。そのために、会社の中で何を伸ばすか、何を捨てるかを判断した上で、出てきた魅力を磨き込むことで先の3つが明確になります。

個人的に、中小・ベンチャー企業はブランディングがうまくいきやすいと思います。会社設立の背景や想いをトップに直接聞くことができるため、ストーリー化をすることがやりやすいと思っています。商品やサービスについて説明するよりも、それが生まれた背景や想いを伝えた方が、ユーザーには響きやすい。中小・ベンチャー企業こそブランディングを積極的に活用すべきだと考えています。

ー自社でブランディングに取り組む際、どんなところが課題になるのでしょう。

自社を客観視することだと思います。事業を成功させるためには、市場・競合・自社を分析する3C分析が重要ですが、自社や周りを冷静に見れなくなることが多々あります。戦略を考える上で一番大切なのは「捨てること」。当事者として事業を始め、一生懸命取り組むほど、すべてが大切に思えてくるので捨てることが難しくなるんですね。

私のような第三者が関わることの意味は、冷静に俯瞰した視点を投げかけられることだと思います。会社や周りの状況を客観視できるようになると、冷静に価値を見極めることができるんです。個人的には、俯瞰した冷静な視点と、経営者に近い情熱的な想いとを組み合わせて伴走できるよう努めています。

ーブランディングを行う前後で、何が一番変わりますか。

社内外への「伝播力」が変わります。会社の想いが伝わりやすく、共感されやすくなるんです。

特に現在は、新聞や雑誌などのマスメディアだけでなく、スマートフォンで情報が広まる世の中になりました。共感され、拡散されやすいストーリーやコンテンツは、今まで以上に大事になっています。

フランスでの原体験

ー美濃部さんがソウルドアウトでブランディングに携わるようになった背景を教えてください。

元々、20歳の頃にフランスに留学したことが原体験になっています。当時は、日本人だからという理由でまともに相手にされず、とても悔しい思いをしたんです。一方で、同じ日本の企業でも、ソニーやホンダ、資生堂などは現地で尊敬されていました。それぞれ、企業理念や独自の文化をしっかり持っていて、それをきちんと言語化して表現できていたんです。グローバルに存在を認められるためには、想いをしっかりと言葉にできなければいけない。その経験から、言葉やビジュアルを通して企業や商品の魅力を伝えるブランディングに興味を持ちました。

新卒で大手広告代理店に就職してブランディングを学び、その後、ベンチャー企業で働くことを決めました。日本人として誇りを持てるような仕事をするため、社会に対する自分の貢献度を最大化するためには、大手よりも人手不足の中小・ベンチャー企業にジョインし、力を発揮した方がいいと思ったんです。日本の99.7%は中小・ベンチャー企業ですから、そこを伸ばすことで日本全体が活気づくことにも繋がる。そんな想いから、ベンチャー企業数社で経営者の側近として、ブランディングを生かした業績改善や売り上げ増に取り組みました。

ソウルドアウトに関わるようになったのは、私がPR会社に在籍していた時に、信頼のおける知人から社長の荻原を紹介してもらったのがきっかけです。荻原から「うちの会社のブランディングをしてくれないか」と頼まれ、3日間集中して企画書をつくり、プレゼンしました。すると「その通りやってほしい」と即決してもらえたんです。すごくやりがいのある仕事でした。

実際に仕事を進める中で、ソウルドアウトの理念や想いに共感し、ベンチャー経営者の側近として培った事業者側の知見や、マスとデジタル両方のマーケティングの知見を、ここでなら活かせるのではないかと思いました。そこでソウルドアウトへの参画を決めて、今に至ります。

想いを汲み、成果につなげる

―美濃部さんがブランド作りに携わる中で、大切にしていることはなんですか。

今に至るまでの想いを汲むことです。今やっていることに対して、「なぜ?」とよく質問します。経営者の中に社会や誰かのためにという想いがあれば、この「なぜ」に対する答えがたくさん出てくるんです。想いや背景を、しっかり聞こうと心掛けています。

ー様々な企業の想いを聞く中で、特に印象的だった仕事について教えてください。

2社のミッションステートメント作りに携わったことが印象に残っています。1社目はPR戦略の企画立案、プレスリリースの配信などを行う株式会社PR TIMES様です。組織拡大によって社内コミュニケーションが難しくなっていた頃に、なんとかしたいという相談を受けました。そこで、社員のプロジェクトメンバーのみなさまと一緒にミッションステートメントづくりに取り組んだんです。

最終的に完成したのは、「行動者発の情報が、人の心を揺さぶる時代へ」という言葉です。PR TIMESが発信している新商品や新サービスの情報は、様々な社員の人たちが努力して実行してきた成果の結晶です。いわば、行動者が発信した嘘のない情報。そんな真実の情報が、人の心を動かす世の中にしていきたいという想いを形にしました。軸ができたことで、社員の方々が誰のために何をやっているのか明確になったと言ってもらえたのが嬉しく、印象的でした。

2社目は、コンタクトレンズの製造・販売事業を行う株式会社カズマ様です。売上が伸びて会社の事業ステージが変わり、さらに一歩踏み出したい。そのために会社としての在り方を伝わりやすくしたいという相談をいただいたんです。

カズマさんが印象的だったのは、社員の方々がとても前向きに参加していただき、活発な議論ができた点です。創業者の想いが強かったことも大きいと思います。例えば、粗利をあげるためにプライベートブランドを作る会社が多い中、カズマさんはユーザーの利益を第一に考え、日本人に合ったより良い製品をつくろうと努力されていました。

そんな想いや姿勢を汲んで議論を重ねた結果、「生きるをずっと、心地よく。100年間、やさしく、つよくいられますように」というミッションステートメントができました。「これから何をすべきかの判断基準になる」と言っていただける成果となりました。

ミッションステートメントは企業の事業戦略や採用、制度設計など、あらゆる活動の判断基準になります。そういった重要な取り組みを一番近くで伴走させていただいたのは、私にとって貴重な経験でした。

 

▼「ミッション、ビジョン、バリューの共創型メソッドを開発。中小・ベンチャー企業の成長の要になるコーポレート・ブランディングサービスを開始。」(2018.1.30)
https://www.sold-out.co.jp/news/topic_20180130

▼株式会社カズマ様との対談
『みんなで決めた指針があるから、迷わない。 次のステージに挑むための、ミッションステートメント』
https://www.sold-out.co.jp/soulofsoldout/works/20180529

中小企業こそ、ブランディングで飛躍できる

ー最後に、今後の中小・ベンチャー企業のブランディングの動向、その中での美濃部さんご自身の展望について教えてください。

現在は、スマートフォンの普及で、マスメディアを使わなくても情報を広められる時代になりました。テレビや雑誌に広告を出せなくても、自社のWebページ上で十分ブランディングできるようになったんです。企業と消費者の距離が物理的にも心理的にも縮まり、地方企業や中小・ベンチャー企業にも、大きく成長できる可能性が広がっています。

ブランディングのために必要なのは、自社のことを言語化し、ビジュアルを作りこみ、ストーリー性のあるマーケティングを行うことや、動画、記事などのコンテンツを拡充させること。そのお手伝いをしていくのも、私達だと考えています。中小・ベンチャー、地方企業が可能性を開花し、企業の良さを広めやすい状況をつくっていきたいと思います。

そのために、複数の企業に同時に展開できるブランディングの仕組みや、PR型コンテンツの作成をお手伝いするサービスを作り、提供していきたいと思っています。それらを通じて、良いものがどんどん広まる世の中をつくっていきたいです。

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気立てのいい妻と3人の子どもと5人暮らしです。かつて、年休4日、ほぼ毎週末出張という生活が5年間続いたころ、文句ひとつ言わずに支えてくれた妻には感謝しています。子どもたちには、個性や強みを伸ばして専門性を身に着け、好きなことを仕事にしてほしいと思っています。私も常日頃から街の散策や人間観察が好きなので、マーケティングが趣味みたいなものです。どんなものに興味があるのかが気になって、街中を観察したり見知らぬ人の会話に耳を傾けたりしてしまうんです(笑)。

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