ベンチャー精神で挑戦を続け、マザーズ上場へ。人とペットが共生する、より良い社会を目指して。

ワークス
2018.10.24
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2018年4月にマザーズ上場を果たしたアイペット損害保険株式会社。同社は、2004年に設立され、主に犬・猫向けのペット保険を提供しています。ソウルドアウトは2011年から、ペット向け保険のデジタルマーケティングを支援しています。今回は、2016年から代表取締役となりアイペットの成長を牽引する山村鉄平さんに、経営者となるまでの経緯や今後の展望について、ソウルドアウト株式会社代表取締役社長の荻原がお話を伺いました。

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山村 鉄平(やまむら てっぺい)
アイペット損害保険株式会社代表取締役
荻原 猛(おぎわら たけし)
ソウルドアウト株式会社 代表取締役社長

転職後の葛藤と、攻めの姿勢への変化

荻原:山村さんはアイペットさんに入る前、大手の保険会社に勤務されていたんですよね?

山村:そうなんです。保険会社に16年間勤めていました。周囲に起業している友人が多かったことから、だんだんと自分で大きな裁量を持って働きたいと思うようになり、転職活動を始めました。

その中で、エージェントから紹介されたのがペット保険のアイペットでした。前々からペット保険は業界で話題になっており、市場ニーズがあると思っていたんです。従来の保険とは違う新しいサービスですから、それを世に広める仕事というのは面白そうだと感じました。営業のキャリアが長かったこともあり、大きな成果を出し影響力を持つことができるのはこの会社なんじゃないか、と直感したんです。そこでアイペットに入社することにしました。

荻原:山村さんも勇気ある決断をなさったと思いますし、採用する方も勇気が必要だったと思います。当時のアイペットさんは社員が100~150人くらいで、次のステージに突き抜けようとしている時期だったと思います。山村さんのような経験も能力もある方に入社頂くと、そんな方を自社でマネジメントできるかどうか、そう考えることもあったと思います。

山村:私の入社当時は、組織がまだ出来上がっていなかったので、期待されていると思って入ってみたら、完全にほっとかれたんですよ。入社して1か月、全くやることがなくて。こんなことなら別の会社にすればよかった、と泣きたい気持ちでした。
しかし、そんな状況を起業した友達に話したらバカにされたんです。「仕事は自分で獲りに行くものなんだよ」と。その言葉に大きなショックを受けました。また、同じころ、社内で若い社員が年長の社員に対しておもいっきりぶつかっているところを見たんです。

その時「あ、いいんだ」と思ったんですよね。ここはベンチャーなんだから、おかしいと思うところはおかしいと言っていい。保険会社出身の社員として、自分が改善できるところはしていこうと。そこから働き方が変わり、正しいと思うことは上長にも積極的に提案をしていくようになりました。

荻原:前職で活躍した方にジョイン頂き、存分に活躍してもらうことは重要ですよね。私たちも管理職を新たに迎えるとき、どんな準備をすべきか毎回考えています。経営陣で合宿して、その人に期待することを出し合ったり、僕らが事前に用意すべきことは何かを整理したりしました。

事業と組織、双方の成長を

荻原:意識を変えられてからは、どんなことに取り組まれたんですか。

山村まずは保険販売チャネルの分散化に取り組みました。それまでのペット保険は主にペットショップで販売を行っていましたが、資金力のある競合が入ってきたら、売り場を独占されてしまう可能性がありました。そういったリスクを回避するため、ペットショップ以外にも販売チャネルを作ろうとしたんです。

最も力を入れたのは、ソウルドアウトさんにお世話になっているネット領域です。費用を見直しながら、クリエイティブを強化したり、キャンペーンを組んだりと様々な施策を打ちました。あとは保険ショップですね。人に対する保険をお勧めする保険ショップに、ペット保険も商品として取扱っていただけるようにしました。

次に取り組んだのが、コーポレートの強化。アイペットには経営理念に共感したりペット産業やベンチャーといったキーワードに魅力を感じて入社する人も多くいて、保険会社とはいえ保険業界出身者があまり多くありませんでした。そのため、保険会社に求められる様々な態勢を、前職で培った知識を活かして整えていきました。社内全体を見る立場を任されたこともあって、様々な問題の解決に取り組みました。
当時はとにかくいろいろな問題がありましたね。事業の成長と組織の成長が噛み合っていなかったんだと思います。

荻原:両方の成長が重要ですよね。ベンチャーにとって売り上げを上げることは、多くの人の役に立てるという信用の証なので、組織を成長させることもすごく大事です。ただ、ある段階に達すると、管理部門を強化していくことになる。その変化は攻めから守りに転じたように取られがちなので、プラスアルファで社内に伝えていかないとなかなか理解してもらえないですよね。

僕らは、事業と管理を両輪に例えて、両方がうまく回らないと会社が前に進まないと伝えています。あとは、「正義の反対は正義」っていう言葉をよく使いますね。営業の正義と法務の正義があって、それらはぶつかることもあるけれど両方正しい。だからお互いが健全に言い合えることが大事だと。そうやってメッセージを発して、理解してもらうことが重要だと思います。

山村:そうですね。うちではジョブローテーションを取り入れて相互理解を促しています。例えば、コンプライアンスを担当していた社員を営業に配置して、その逆も行う。そうすると互いの気持ちが分かるようになるので、会社全体が融合していくと考えています。

荻原:素晴らしいですね。結果として、アイペットさんは急成長を遂げられましたが、その要因はどこにあると考えていらっしゃいますか。

山村:一つは市場の伸びですね。組織が悪い時も、市場が伸びていたからうまくいっていた部分が大きいです。これを実力と勘違いせず、理解しておく必要があると思っています。
もう一つは、古参の社員の頑張りです。つらい時期でも、きっと良くなると信じて歯を食いしばってやってきてくれた社員がいてくれたおかげで、成長できたと思います。

荻原:私がすごいと思うのは、市場の伸びに合わせて見せ方を変えたり、新たなサービスを作ったり、フィットするまで挑戦を続けられたところです。諦めずに改善して、できるまでやり切る力が、まさにベンチャーという感じで素晴らしいなと。

山村:たしかに、そういう部分はあると思います。そう言っていただけるとありがたいです。

「働いていてよかった」と言われる会社を目指して

荻原:プレーヤーから経営者になられて、山村さんご自身で何か変化はありますか。

山村:いろいろあります。一つ根本にあるのは、創業者じゃないという後ろめたさです。大企業だったらそれでもいいと思いますが、僕らはベンチャーで、会社が苦しかった創業時から会社を支えてくれていたメンバーがいます。私よりも社歴が上の人も当然いる。そういったメンバーも含めて同じ方向を向いて会社を引っ張っていきたいと思っているので、きちんと認められるよう実績を上げ続けなければと思っています。

あとは、自分が直接動けないことに対する葛藤ですね。プレーヤーだったら自分で成果を上げることもできますが、立場が違うので自分で手を出すことはできない。人を育てて、適材適所に配置し、力を発揮してもらうという部分は、まだ勉強中です。

基本的に心配性なんですよね。社員にも同じくらい心配性になってほしいと思っています。心配性だと失敗しないじゃないですか。

荻原:ああ、一緒です(笑)。

山村:任せないといけないんですけど、まだ心配しちゃうんですよね。

社員が前向きに自立して働けて、成果を出せるのが理想です。だから社員には、こうしたら会社がもっと良くなるというような視点を常に持って、自分の持ち場でどんどん取り組んでほしいなと思っています。

荻原:そうですね。私自身は、会社に対するロイヤリティが高い社員には、共通点があると思っています。一つは、本人に成長の実感があること。成長の実感を得る方法としては、その上司が本人に対して率直に上手くできたこと、できなかったことを見つけ伝えることが大事です。もう一つは評価の公平性ですね。なぜそういう評価になったのか説明する責任を果たし、納得してもらうべきだと思います。

山村:たしかにそうですね。社員に「この会社に勤めてよかった」と思ってもらえる会社でありたいです。

荻原:私が選んだ会社に間違いはなかったって思ってほしいですよね。

人とペットが共生する、よりよい社会へ

荻原:最後に、これからアイペットさんが何を目指していくのかお聞かせください。

山村:まずはペット保険の加入率を上げたいと考えています。現在、日本の加入率は7.7%ほど。これに対し、イギリスは25%、スウェーデンは50%といわれています。つまり、まだまだ伸びしろがあると考えており、ペット保険の必要性を認識してもらいながら加入率を上げていきたいです。
そのうえで、私たちの経営理念でもある、ペットとの共生環境の向上と、ペット産業の健全な発展を目指していきたいと思っています。

また、もともとペット好きの社員が多く、新規事業に関心のある社員もいるので、ペット保険以外のペット産業にも挑戦したいと思っています。ただ、保険業法等の関係で他業が禁止されており、今のままではペット産業の事業の多角化に取り組むことができないので、今後、ホールティングス化に向け取り組んでいきます。

ペットを飼っている人はもちろん、飼っていない人にとっても、ペットとの共生関係をより良くすることで、命の大切さの啓発に繋がると考えています。現在、ペットに触れることで命の大切さを感じてもらおうと、CSV活動(※)の一環として、小学校で命の授業を行っています。大人も子どもも動物も、すべての命を大切にすることが社会的な幸せに繋がると思うんです。

荻原:そうですね。うちも犬を飼っておりまして、この間初めて病気になったんです。その時、子どもが悲しんだり、奥さんがあわただしく対応したりするのを見て、ペットも家族だなと改めて思いました。あと、犬を実家に連れていくと、父母がすごく喜ぶんですよ。犬の世話を焼くことで、生活にハリが出るんだと思います。

山村:たしかに、ペットを飼うことは認知症の防止や家族間のコミュニケーションの円滑化にも繋がると言われています。ペットも大事な家族です。我々も事業を通じて、ペットと人間がお互いを大事に思い合い、潤いのある社会を創っていきたいと考えています。

荻原誰かに必要とされることは長生きの秘訣なんですよね。ペットに必要とされることは、人間の尊厳にとっても大事なんだと思います。ペットと人間がより良い共生関係を構築できる、アイペットさんが目指す世界ができたら、もっといい社会になると思います。

※CSV活動=Creating Shared Value(共通価値の創造)の略。慈善活動や寄付によるCSR活動ではなく、本業で社会に貢献していく活動。

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