インタビュー

人にも、自然にも、企業にも。
全てのステークホルダーと共に栄えていく「八方よし」の経営を

自他協栄図

2021年2月より社是を「自他共栄」にリニューアルし、関わる全てのステークホルダーと共に栄えていく「八方よし」の実行経営を進めるソウルドアウト。昨今、社会的にも注目されているサステナビリティ経営について、代表取締役会長の荻原猛と代表取締役社長の荒波修が対談し、話題は地球温暖化の話から地方の活性化、更にはDX化の推進まで多岐にわたりました。インタビュアーはヤフー株式会社で20年にわたりIRを含むSR(ステークホルダーリレーションズ)や社長室の責任者を務め、現在はソウルドアウトの社外取締役である浜辺真紀子が務めます。

荻原 猛(おぎわら たけし)
代表取締役会長CGO
荒波 修(あらなみ おさむ)
代表取締役社長CEO
浜辺 真紀子(はまべ まきこ)
社外取締役

私たちのコアアセットを、地球温暖化の問題解決に活用したい

浜辺:本日はソウルドアウトが考えるサステナビリティ経営という観点から、お二人にお話を伺えればと思っています。まず取り上げたいのが地球温暖化の問題です。普段の暮らしのなかで地球温暖化やそれに伴う気候変動を実感することはありますか?

荻原:私たちが子どもの頃に比べると、台風をはじめとした自然災害が、格段に増えましたよね。被害規模も桁外れに大きくなっている。今年も熱海で大規模な土石流が発生し、大変な被害をもたらしました。ああいった痛ましい光景を目にすると、気候変動の恐ろしさを実感します。もう少し身近なところでいうと、私には釣り好きの友人がいるのですが、彼の話によると、昔は浅瀬で釣れなかった魚がどんどん釣れるようになっているらしい。つまり、生態系が崩れつつあるんですね。そういう意味でも、地球温暖化の問題はもう本当に待ったなしだというのが、率直な感想です。

荒波:私は日本人、特に東京で暮らしている人は、まだまだ当事者意識が足りない部分がある気もしていて。夏が暑くなったり、ゲリラ豪雨が増えていることは感じていても、直接的に生存を脅かされることってないじゃないですか。でも世界に目を向けてみると、海面上昇によって住む場所を失っている人や、干ばつによって今日飲む水にも困る人がいます。気候変動というのは、100年先の話ではなくて、今そこにある危機なんです。だからこそ私たちも意識を変えて、できることから手を打っていかなければならないと感じています。

浜辺:数年前と比べると、少しずつですが、人々の意識も変わりつつありますよね。『ちょっと高くても環境負荷の低そうな商品を選ぼう』といったように、日常のなかでサステナブルなアクション起こしている人も増えてきました。とはいえ、一人ひとりにできることには限界があるのも事実で、だからこそ企業にも責任ある行動が求められるわけです。ソウルドアウトグループとしては、地球温暖化とどのように向き合っていこうと考えていますか?

荻原:ペーパーレス化などを進める一方で、私たちが保持する組織能力であるマーケティングやコンサルティングのスキルを、いかに活用するかを検討しているところです。例えば、中小企業のなかにもグリーンテックなどに取り組んでいる企業は少なくありません。彼らの事業を加速するために、プロボノ的に無償で支援を提供することもできるかもしれません。いずれにしても、そういった事業を通じたアプローチでこそ、ソウルドアウトの強みは最大限に発揮されると考えています。

荻原

荒波:カーボンニュートラル(※1)の観点からは、リモートワークの推奨も効果的だと思います。日本全体でリモートワークが定着すれば、交通機関が排出するCO2を削減できますからね。とはいえ、リモート化に及び腰な中小企業もまだまだ多い。もちろん顔を合わせなくてはならないさまざまな事情があるのも理解できるのですが、そこは組織としての工夫によって解決できる部分も大きいと思うんです。だからこそ、率先してリモート化に取り組んできた私たちがノウハウを提供することで、リモートワーク推進に貢献していけたらと考えています。
あとは国や行政との関わりをもっと深めていきたいですね。サステナブルな経営に取り組む企業が増えてきているとはいえ、いち企業の取り組みには限界があります。地球温暖化という大きな課題に取り組むためにも、官民がもっと綿密に協力する動きが広がっていくと良いなと思っています。

浜辺:「ESGへの取り組み」という面では、上場会社は環境・人権・労働・コーポレートガバナンス等への方針や取り組みを開示することが求められています。「社会の役に立っています」と同等、それ以上に「社会に迷惑をかけていません」と言うことの説明責任が求められているのです。例えば環境においては、ソウルドアウトの2021年度第2四半期の決算発表資料にも記載されていたとおり、GHG(温室効果ガス)排出量の算定・開示が必須となってきています。人権・労働・コーポレートガバナンス等においても、同じように様々な開示が求められています。こうした「迷惑をかけない」方針・取り組みのまとめ・開示は地味な作業に思えますが、ESGの土台となる重要な案件ですので、そちらも着実に進めて行きたいですね。

※1 カーボンニュートラル:ライフサイクルにおけるCO2やメタンなどの温室効果ガスの排出量と削減量をプラスマイナスゼロにすること。

革命は地方から! マーケティングの力で、地域にサステナブルな産業を

浜辺:社会のサステナビリティを考える上では、地域活性化も外すことのできない重要なテーマです。この課題については、どのようなアプローチができそうでしょうか?

荒波:ちょうどこの7月に、人の流れの創出や、地域独自の魅力や価値の向上、地域経済の活性化を目指して、岩手県釜石市と「地域活性化起業人制度」(※2)の協定を締結しました。釜石はかつて鉄鋼業で栄えた街です。しかし、少子高齢化が進んだ結果、人口は最盛期の1/3である3万人にまで激減しています。

けれど実際に訪れてみるとわかるのですが、釜石には魅力的な自然や文化がまだまだたくさんあるんですね。ただ、それを上手に発信できているかというと、必ずしもそうではない。そこで私たちがマーケティングの力を活用して、その魅力の発信をお手伝いしていければと考えています。

荒波

荻原:私は革命というのは、いつでも地方から起きると考えていて。東京から離れれば離れるほど、誰もみたことが無いような独創的なサービスやブロダクトが生まれやすくなると思うんです。地域活性化起業人制度を通じて、「地方からイノベーションを送り出したい」と考えている人にとっても、モデルケースになるような事例がつくれるはずだと期待しています。

荒波:地域活性化のために私たちがやれることとなると、忘れてはならないのがECの支援です。地方にもいい商品やサービスはたくさんあるのに、それをしっかり届けられていない。だから作り手のみなさまが「売る力」を身につけられるようにサポートしていくことも、私たちの重要な使命です。それが地域にサステナブルな産業を根付かせることにつながっていくのではないでしょうか。

荻原:同感です。みなさん本当に良いものつくられているから、それを変に誇張する必要もないんですよね。ちょっと光の当て方を変えてあげるだけで、何倍にも魅力を引き出すことができる。そのお手伝いは、まさに私たちのど真ん中の仕事だと思います。

浜辺:ここ数年で、若者たちの意識も変わってきましたよね。東京ではなく地方で働きたい、と考える若者が増えている印象です。

荻原:地方の課題を解決したい、と考える若者が本当に増えましたよね。ただ現状では、そういう想いを抱いた若者と、魅力的な地方の企業がうまくつながれていないのも実情です。そのマッチングを取り持っていくことも、私たちにできることのひとつなのかもしれないですね。現に、私たちがご支援して業績を伸ばしていかれた地方企業様で、優秀な人材を採用できるようになった企業様もたくさんいらっしゃいます。

荒波:今年新たに生まれたカンパニー企業「アンドデジタル」が展開を予定している教育サービス「ジッセン!DX」も、まさに地方への人材支援を目的のひとつとしています。地方で今何よりも不足しているのはデジタル人材です。そこで私たちは「ジッセン!DX」を通じて、実践的なデジタルスキルを習得した人材を、地方へと輩出していきたい。東京と地方の格差を縮めるためにも、有効な一手となるはずです。

※2 地域活性化起業人制度:地域活性化の課題に対応して、地域を起こす企業人材の派遣に係る制度。三大都市圏に所在する企業等の社員が、そのノウハウや知見を活かして地域独自の魅力や価値の向上、地域経済の活性化、安心・安全につながる業務に従事し、地方圏へのひとの流れを創出することを目指すもの。

成長フェーズの中小企業のDXを支えていきたい

浜辺:DXというキーワードを、もう少し深掘りさせてください。地方に限らず中小企業が生産性を高めていくためには、DXの推進が必要不可欠だと思うのですが、そこにはどのように携わっていこうと考えていますか?

荒波:最近はDXとデジタライゼーションの違いが強調されることが多いですよね。デジタライゼーションは単なるデジタル化で、デジタル技術を前提としてビジネスモデルそのものを変革していくことが本当のデジタルトランスフォーメーションなんだ、といったように。でも私たちは言葉の定義にはあまりこだわりがないんですよ。デジタライゼーションの部分も含めて、しっかりとクライアントに寄り添った支援を提供していことが、ソウルドアウトのDX支援です。

荻原:多くの中小企業が悩まされている人手不足を解決するためには、DXの推進は必須です。人から時間を奪っていく単純作業をIT化し、人が人にしかできない仕事に注力することは、新たな価値の創出にもつながっていくはずです。そうやって中小企業が成長していくことは、実は私たちにとっても大きなメリットがあります。企業に余力が生まれれば、インターネット広告の出稿も増えますからね。つまりDX支援は、私たちの主戦場である広告市場の拡大にもつながっているんです。

浜辺:DXによって生産性を向上させた上で、インターネット広告の力でさらに売上を伸ばしていく。そうした好循環を目指しているのですね。

荻原:おっしゃる通りです。DXにしてもインターネット広告にしても、中小企業での成功例を弊社ほど蓄積している会社は、ほかにありません。そのノウハウをこれからも惜しむことなく提供していくつもりです。

浜辺

浜辺:そのほかに中小企業の活性化のために、考えていらっしゃることはありますか?

荒波:中小企業の事業継承をどのように支援していくかは、難しい課題だと思います。グループとして何ができるのか議論を重ねているところです。面白いことに、弊社の場合、入社してくる際に「実家が中小企業を経営しているので、将来はそこ継ぎたいです」と語る社員が意外と多くて。そんな彼らを快く「卒業」させてあげることも、ひとつの事業継承支援なのかもしれません。

浜辺:ソウルドアウトで磨いた技術を、自分に縁のある中小企業に還元していく。その技術をもとに地元が活性化していく。それも社会貢献のあり方のひとつだと思います。

誰かの犠牲の上に成り立つ経済なんて、意味がない

浜辺:ここまでさまざまな観点からソウルドアウトが考えるサステナビリティ経営についてお話を伺ってきました。改めて、今なぜサステナビリティ経営に注力していこうと考えるのか、ご意見をお聞かせください。

荻原:サステナビリティ経営について日本の遥か先をいくヨーロッパでは、「個の幸せ」を非常に大切にしていますよね。単に経済成長を追いかけるだけではなく、一人ひとりの多様な幸せのあり方を追求していく。日本もそうした成熟した社会を目指すフェーズにきているのだと思います。私たち企業も、そこにしっかりとコミットしていかなくてはならない。サステナビリティ経営は、そのための手段のひとつだと考えてます。

荒波:これまでの資本主義って、人にも自然にも、優しくない部分があったと思うんです。どこかブレーキの壊れた車のようなところがあった。サステナビリティ経営は、そんな風に暴走しかけている資本主義に歯止めをかけるひとつのストッパーになり得るはずです。私たちはマーケティングの会社でもあり、モノをたくさん売ることを是としてきた部分もあるので、難しいところではあるんですよ。ただやっぱりこれからは、とにかく何でも供給量を増やせばいい、という時代ではない。世の中にとって本当に必要なものを、必要とされるところに適切に届けていく。そういったビジネスのあり方を念頭に置いた経営が求められるのではないでしょうか。

インタビュー

浜辺:私もおっしゃる通りだと思います。これからサステナビリティ経営を進めていくにあたって、社員へのメッセージはありますか?

荻原:まずは社員みんなに幸せになってほしい。これまでは仕事一辺倒で働いてくれた人も、これからはぜひもっと自分のために時間とお金を使ってほしいですね。そのために会社としてできることがあれば、支援は惜しまないつもりです。もちろん、もっと「新しいことに挑戦したい」という人も、積極的にサポートしていきたい。「何か変えよう」「次に行こう」と必死でもがく挑戦者が、しっかりと報われる会社にしていきたいですね。

荒波:そもそもソウルドアウトは社会課題解決型の組織で、「地方や中小企業を元気にしたい」と本気で考えている優秀な社員が大勢いるんです。ただ今まではどうしても広告事業が中心だったので、支援できる対象が限られている部分がありました。それがようやく、さまざまなグループカンパニーが出揃うことで、幅広いクライアントを支援できる体制が整いつつあります。だから今こそぜひ、新たなサービスやプロジェクトの創出にチャレンジしてほしい。地方活性化や循環社会の実現など、自分が本当に興味のあるテーマに挑んでみてください。私たちもしっかりとそれを後押ししていきます。

荻原:SDGsの「誰も取り残さない」ではないですけれど、私たちは社員にも、クライアントにも、消費者のみなさまにも、本当の意味で幸せになってほしいんです。誰かの犠牲の上に成り立つ経済なんて、意味がありません。企業理念をリニューアルしたのも、それをしっかりと伝えていくためです。収益性・成長性・社会性を備えた企業文化で「自他共栄」を目指す。あらゆるステークホルダーを巻き込みながらともに成長していける「八方よし」の経営を実行する。こうした理念を常に念頭に置きながらサステナビリティ経営を推し進めてまいります。

パンくず