スタートアップ支援・事業再生のプロフェッショナルと語る「新規事業成功の秘訣」

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2020.02.06
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刻一刻と移り変わる社会の中で、会社も常に変化を迫られている。社会の変化のスピードが加速している現代において、どの会社にも求められているのが事業の創造だ。

ソウルドアウト株式会社では、社内の新規事業立ち上げを支援するアイディア公募企画「ハナサク」プロジェクトを開始。応募に先駆け、新規事業をテーマに登壇者4人によるパネルディスカッションを行った。
スタートアップ支援のプロフェッショナルとして、50社以上へのハンズオン型ベンチャー投資※1を行うファウストビート株式会社 代表取締役CEO 嶋根秀幸さん、中小企業の事業再生を手がけている株式会社匠堂 代表取締役社長 朴理沙さんと、ソウルドアウト株式会社代表取締役会長CGOの荻原猛、代表取締役社長CEOの荒波修が、新規事業の生み出し方や成功ポイントについて語り合った。当日の内容をレポートする。

※1:「ハンズオン型ベンチャー投資」とは、ベンチャー企業への出資を行うだけでなく、経営や事業に関しての助言や支援も行うスタイルの投資

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嶋根 秀幸(しまね ひでゆき)
ファウストビート株式会社 代表取締役CEO
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嶋根 秀幸(しまね ひでゆき)
日本ブレーンセンター(現エン・ジャパン)に新卒で入社。その後、新規事業の立ち上げを経験後に、スタートアップ支援プログラムを立ち上げ、50社への投資を行う。Mistletoe社ではスタートアップ支援や関連イベント及び育成プログラムの設計を担当。2013年に現会社を設立し、スタートアップ企業や新規事業開発のアドバイザーも務める。
朴 理沙(ぱく りさ)
株式会社匠堂 代表取締役社長
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朴 理沙(ぱく りさ)
日本たばこ産業株式会社へ入社。飲料営業・外部企業出向・新規事業の幅広い業務に従事。出向時、創業130年の中小企業の再建に参画。当時「25歳・女性…」と警戒されていた中で信頼関係を構築し、収益改善に貢献。この経験が中小企業の可能性を見出す機会となり、ご縁あって株式会社匠堂の代表取締役社長に就任。

新規事業の生み出し方・成功のポイントとは

ー最初に、みなさんはこれまでどのような事業に携わり、再生や創造の必要性を感じて来られたのか教えてください。

:私は、経営難や後継難に陥った会社の事業再生を支援しています。支援しているのは主に中小製造業で、約2年間で9社を買収し、グループ化して事業を改善してきました。前職は大企業で働いており、出向して地方の中小企業を支援する仕事を経験しました。そこでデジタル化やマーケティングといったことに課題を抱えた、オールドエコノミーのままの中小企業の現状を知り、支援の必要性を感じたんです。生き残っていくためには、オールドエコノミー領域である中小企業にある素晴らしい人・技術・ノウハウを活かしながらも、ニューエコノミーの活躍しつつある21世紀において持続可能な中小企業に変わっていく必要がある。だから、コミュニケーションを取りながら泥臭く、企業が変化していくためのハブになりたいと思っています。

嶋根:私は転職した会社で新規事業を任されたことがきっかけで、新規事業に関わり始めました。2012年から、孫泰蔵さん※2と一緒にインキュベーションプログラムを立ち上げ、50社ほどに投資しました。

ただ、たくさんのスタートアップに投資していくうちに、個別の投資の積み重ねだけで社会の課題解決に繋がっていくのかどうか、疑問に感じ始めました。そこで、世の中に必要な事業の芽を考えながら、課題感や価値観をお互いに共感できる人と将来一緒にやっていきたいと思い、ファウストビートを作ったんです。社会にある課題を解決するために、新規事業は重要だと思っています。

荒波: 私はこれまで前職も含めて新規事業を支援する立場として関わってきました。前提として、そもそも会社には新陳代謝が必要だと考えています。カルビーを躍進させた松本晃さんは「Change or Die」と話していますし、私の前職ヤフーで当時社長を務めていらっしゃった宮坂さん(現東京都副知事)も「脱皮しない蛇は死ぬ」とよく言っていました。私はソウルドアウトとして新規事業に取り組む意義は大きく3つあると思っています。1つは、そもそも、新しいことに取り組まない、つまり、変化しないということは退化であるということ。2つ目は儲けないことには理念の実現もない。どうやって儲けるのか、しっかりと向き合って考えることは大事であるということ。3つ目は、新しいチャレンジは人を成長させるということです。そのため、ソウルドアウトグループでも新規事業に取り組もうとしています。

荻原:僕にとってはソウルドアウトをつくったことが事業の創造そのものです。変化する社会の中で戦う経営者を助けたい。デジタルマーケティングで企業の稼ぐ力を養い、全国で雇用を生み、地方創生に繋げたい。そう思って事業を始めました。まず最初に事業のドメインを定めることは非常に大事だと思いますね。

これまで、全国の優秀な中小・ベンチャー企業の社長さんを見つけて支援してきました。これからは、例えば「稼ぐ力を養う」という文脈だと、フリーランスが増えている社会背景を元に個人事業主にもサービスを提供できるかもしれません。地方活性化という文脈だと、培ったマーケティングの力を使って自治体のインバウンドを支援できるかもしれないですよね。HR領域に新しい事業の可能性はあるでしょう。ミッションに紐づいていれば、そんな風に事業ドメインを拡張してもいいと思っています。社員と一緒にそんな事業をできたら嬉しいですね。

※2:「孫泰蔵氏」ソフトバンクグループCEOの孫氏の弟で連続起業家・実業家・投資家

 

新規事業成功の要とは?

ーでは、新規事業を成功させる秘訣とはなんでしょうか?

:「ニーズがあるかどうか」ではないかと思います。私自身、前職で新規事業のプロジェクトを担当していたことがありましたが、やらされ仕事の新規事業は絶対にうまく行きません。そこに必要性があるかどうか、担当者が必要性があると思えているかどうかが、要だと思います。

嶋根:私は、枠にとらわれないマインドや考え方が重要だと思います。大企業や伝統ある企業は、醸成された文化や制度がしっかりとあるため、3年もいると他の考え方ができなくなってしまいがちです。実際に新規事業を作ろうと思っても、はまってしまった枠を飛び越えられず、もがく例をよく見ます。

僕はよく、新規事業担当者に「24時間365日考え続けて」と言います。これはブラックな働き方をしろと言っているのではなくて、意識や考えを新規事業のアイディアに集中することが大事だということです。考え続けられる精神力や知的忍耐力があれば、必ず枠を超えられます。新規事業創出のゼロイチ部分はセンスによる部分も大きいですが、訓練で身につきます。スポーツと同じですね。どれだけ続けられるかが重要です。

ーそうなると、企業の中で仕事を持ちながらやるのは難しくなるでしょうか。

:会社を飛び出さなくても、オールドエコノミーとニューエコノミーのバランスを取りながらやれればいいと思います。例えばソウルドアウトさんは、中小・ベンチャー企業のニーズに触れ続けながら、自社ではデジタルマーケティングをやるわけじゃないですか。自分の領域にないものに触れる機会があれば、仕事の延長線上でもできると思います。隙間時間で全然違う領域の人に関わってみるのもいいかもしれません。

荻原:会社の外の人に触れると、人は磨かれますよね。外に出てニーズを知るのは楽しいですし、外に触れないと入ってこないものもありますから、そういう意味ではどんどん会社を飛び出せと言いたいですね。僕が要だと思っているのは、応援団がいることです。ソウルドアウトを立ち上げた時、90%の人に「失敗するよ、バカじゃないの」と言われました。でも10%の人は応援してくれた。損得抜きに応援してくれる人と、その数が重要だと思います。応援してもらえるために、事業を作る人は日々人格を磨き、アンテナをはる必要があると思いますね。

荒波:私はタイミングが重要だと思います。事業は始めるタイミングで8割が決まると思っています。例えば、ヤフー社はカカオトーク※3を始めようと準備をしていましたが、数ヶ月先にLINEが世の中に出た。あと数ヶ月早く参入していたら、LINEではなくカカオトークが日本国内で普及していたかもしれない。タイミングが遅いと負けてしまうし、逆に早すぎると世の中に受け入れられなくて熱が冷めてしまう。

嶋根:状況は変化しますから、それに気づくことが大事ですよね。今までの習慣を変えてみると、変化に気が付きやすくなることもあります。あとは、何事も最初に「面白い」と食いついてくれる人が思いをはせて事業を作ることが大事だと思います。

※3:韓国企業カカオが開発、提供するスマートフォン用の無料通話・メッセンジャーアプリケーション。韓国では、他のSNSを上回る圧倒的なユーザー数を誇り「国民的SNS」とも言われる。

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新規事業で成功する人の共通点とは

ーそれでは、新規事業で成功する人の共通点とはなんでしょうか?

:情熱がある人は成功すると思います。実体験ですが、想いがあれば、給与が下がっても参画してくれる人や、副業的に手伝ってくれるスペシャリストが現れます。それから、利他の精神がある人ですね。私たちは、経営統合してあとで経営者の配置転換を行うことがありますが、新しい経営者を見つけるとき、利他で考えられるかどうかを重視しています。

嶋根:私は想像力があることが大事だと思います。先ほどスポーツに近いとお話ししましたが、例えば野球選手はバントをするとき、球筋の変化を見極め、自分の能力を加味してどの位置に落とすかを計算しますよね。新規事業もそれと同じで、競合や市場を分析して、自分の強みを見極め、どこに参入するか想像することが大事です。まず想像して、実際にやってみることが重要ですね。

荒波:どんな人が成功するのかの結論は、非常に難しいですよね。成功した人を見てみると、変わった人間ばかりだった気がします。ちょっと生意気だったり、やたら自分に自信があったり。それから年齢は下でも、風格がある人が多かったですね。

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事業のタネはどこにある?

ー事業のタネはどのようにして見つけるといいでしょうか?

嶋根:例えばフリーランスのマネジメントサービスpastureを作るときは、事業案100本ノックみたいなことをしていました。その中で、担当者がフリーランスの方との契約書や発注書、請求書の管理ややりとりが煩雑だなと思ったことから、それを一元管理できるサービスを思いついたんです。自分自身が取り組んでいることで、不便だと感じることがタネになりやすいと思います。

:確かに、私は中小・ベンチャー企業の方とお付き合いする中で、規模の小さな会社でも経営管理部門を持たなければいけないことが大変だなと感じて、ホールディング化してそれらの機能を一括で担うようにしたんです。効率化ですね。タネは、実際に現場に飛び込んで、向き合った結果見えてくるものだと思っています。

荒波:全くの新しいアイディアというのは、見つけるのが難しいですよね。世界中のベンチャーを研究するなど、いろいろなものを見ると自然といいアイディアが生まれるかもしれません。よくタイムマシン経営と言われますが、海外の事例を日本に取り入れることも立派なサービスの芽になりますからね。

嶋根:そうですね。そして確かにアイディアも大事なのですが、僕は面白い「人」に投資するようにしています。アイディアだけだとやりきれなくて、途中で折れてしまうことが多いんです。

荻原:そうですね、アイディア以上に人が大事なのかもしれません。

 

嶋根さん、朴さん、荻原さん、荒波さんに聞いてみました。

新規事業成功の要とは?

・ニーズがあること
・枠にはまらず考え続けること
・応援団がいること
・タイミングが適していること

新規事業で成功する人の特徴は?

・情熱がある人
・想像力がある人
・ちょっと変わった人

新規事業のタネはここにある

・自分が不便を感じること
・現場で感じた悩みごと
・海外の企業の事例
・個人の中

新規事業立ち上げアイデア公募企画「ハナサク」

11月末~1月にかけて、1次審査・最終審査を経て1月17日に結果発表となります。
ソウルドアウトのメンバーは、どんなタネを蒔き、どんなハナがサクか。結果については、3月号にてお届けいたします。
 

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