経営陣の想いを翻訳し、社内外にファンをつくる。ソウルドアウトグループ広報が挑む「広報機能のアップデート」

仲間・文化
2026.07.10
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社内外に向けて、会社の想いや取り組みを届ける広報チーム。ニュースリリースやSNSでの発信、全社会議やイベントの企画・運営など、その役割は多岐にわたります。
ソウルドアウトグループ(以下、SOG)の広報の仕事は、単なる「情報発信」にとどまりません。経営陣の思想を深く汲み取り、社員やステークホルダーに伝わる言葉へ翻訳すること。そして、会社へのエンゲージメントを育み、社内外に強固な“ファン”をつくっていくこと──そこには、従来の広報の枠を越えた戦略的なアプローチがありました。
今回は、コーポレートコミュニケーション本部の畠中 奈津美さん、岡田 明子さん、関谷 早紀さんに、広報としてのスタンス、組織を動かした「専務カレッジ」や「社員総会」の舞台裏、そして生成AI活用による「広報機能の拡張」について話を伺いました。

広報のミッションは、社内外に「熱狂的なファン」をつくること

── まず、広報チームの皆さんが担っている役割とミッションについて教えてください。
 

畠中:私たち広報チームは現在4名で、ソウルドアウトグループ全体の広報・コミュニケーション戦略を担っています。約600名の社員、クライアント、パートナー、求職者など、SOGを取り巻くすべてのステークホルダーと良好な関係を築き、「社内外にファンを増やして、エンゲージメントを高めること」が共通のミッションです。
その中で、関谷さんが社内向けの「インナーPR」、岡田さんが社外向けの「アウターPR」をメインで担当し、私は全体の方針策定や経営陣との連携など、チームの舵取りを担っています。

岡田:アウターPRとしては、グループ会社を含めた各サービスの認知拡大を目的に、ニュースリリース配信やWebメディア・SNSの運用を行っています。単に情報を出すだけでなく、「SOGが今、社会にどんな価値を提供しているか」というストーリーを意識しています。

関谷:インナーPRとしては、社内のエンゲージメントを高め、それを組織に定着させるための施策を推進しています。具体的には、全社会議やインナーイベントの企画・プロデュース、運営を担っています。

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※写真左から関谷さん、畠中さん、岡田さん

──  「ファンをつくる」という言葉が印象的です。実際に、ファンが増えていると感じる瞬間はありますか。

関谷:インナーの領域では、イベントごとに定性・定量のアンケートを実施して効果測定を行っています。特にグループ最大のインナーイベントである「社員総会(完全リアル開催)」では、社員から「この会社に入ってよかった」「経営の想いと自分の仕事が地続きになった」といった熱量の高いフィードバックをもらう機会が増えました。同じ志を持つ仲間(インナーファン)が着実に増えていると実感しますし、私たち自身の励みにもなります。

岡田:アウターの領域では、 新拠点の開設や自治体との協定締結などを発信した際に、地元の有力メディアや新聞に取り上げていただく機会も増え、地域での認知や関心が広がってきている実感があります。

 

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※26年度総会のアンケートに寄せられた社員からのコメント

 

経営陣の思想を「翻訳」し、組織へ浸透させる

── 社内外にファンをつくる前段階として、まずは「社員が会社の方針を深く理解している状態」が不可欠だと思います。経営陣の思想を現場に届けるために、どう向き合っているのでしょうか 。

畠中:広報の本質は、経営陣の脳内にある抽象度の高いビジョンや意図を正しくキャッチし、現場や社外のステークホルダーが『自分ごと』として動ける言葉へ翻訳することです。 日々アップデートされる経営のスピード感に伴走しながら、その背景にある「なぜ今、この戦略なのか」という本質的な意図を理解することが大事だと考えています。 

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──その「翻訳機能」がまさに形になったのが、対面形式のイベント「専務カレッジ(※)」ですね。
※専務カレッジ:北川共史専務(現:代表取締役社長)の思想を直接伝え、現場の声をダイレクトに聴く、少人数・対面形式の双方向ワークショップ。

畠中:専務カレッジは「北川さんの頭の中を社員にインストールしたい」という目的からスタートしました。 2025年に「ローカル&AIファースト」という新構想を発表した際、言葉の定義は理解できても、「具体的に自分の日々の業務にどう接続すればいいのか」まで解像度が上がっていない社員も少なくありませんでした。そこで、一方的なトップダウンの発表ではなく、経営と現場が双方向で対話する場として設計しました。

──実際には、どのような形で開催されたのでしょうか。

畠中:北は北海道から南は沖縄まで、全国の拠点を回りました。東京で13回、地方エリアで8回、オンラインを含めて計22回実施しました。経営の考えをリアルな熱量で伝えるだけでなく、現場のリアルな声や課題感を直接聴く(インサイトを拾う)ための設計です。

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※東京・名古屋開催の様子

──短期間で22回もの開催を回す中で、広報チームとしてどのようなチューニング(PDCA)を行いましたか。 

畠中:最も重要視したのは「施策をやりっぱなしにしないこと」です。毎回、実施直後にアンケートを回収し、社員の受容度や反応を定量・定性で分析しました。週替わりでコンテンツの微調整を繰り返し、北川さんとも「次はここを補足しよう」と議論しながら、回を追うごとにメッセージの浸透精度を高めていきました。 

関谷:アンケートを集めるための設計も意識しましたね。たとえば60分の枠であれば、50分で講義を終え、残りの時間でアンケートまで書いてもらう。参加者の負担にならないよう、時間内に完結する設計にしていました。

途中から「未来新聞(※)」というワークも加わりましたが、それも持ち帰りにならないよう、時間内に終えられるように設計しました。受け取った経営のメッセージを、その場で「自分ごと」として言語化させるための重要な仕掛けです。

※未来新聞:SOGの5年後のありたい姿を参加者が描き、専務カレッジで受け取ったメッセージを自分ごと化するためのワーク。

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※大阪・沖縄開催の様子

── 社員の声を聞きながら、内容も運営も変化させていったのですね。 

関谷:はい。経営陣と社員の間に立ち、言葉を届けるだけでなく、社員の反応を経営陣にフィードバックして次の場をよくしていく。そこまで含めて広報の役割だと思っています。専務カレッジは、まさにその姿勢が表れた取り組みでした。

 

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社員総会は、年に一度のイベントでは終わらせない

── 社員総会についても伺いたいです。今年は「Make it REAL~想いを現実に〜」というテーマで開催されましたが、どのような想いから企画されたのでしょうか。

畠中:社員総会のテーマは、経営陣が次の期に最も注力したい戦略や、3か年計画のフェーズに連動させて策定しています。企画の時に大事にしているのが「ライブ感」「フィードバック」「コラボレーション」という3つのコア・キーワードです。 

「ライブ感」は、事業の現在地を伝える意味と演出としてのライブ感の両方があります。壇上に立つ人を見て、「来年は自分もあそこに立ちたい」と思ってもらえるような場にすること。

「フィードバック」は、一方通行の会にしないこと。経営陣と社員の双方向のコミュニケーションを生む意識をしています。

「コラボレーション」は、社員同士の交流が生まれる設計になっているかどうかです。この3つをもとに、総会を設計しています。

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※実際に社長に提案した企画書より抜粋

── 今年の社員総会では、初めてクライアントを招待されたそうですね。

畠中:はい。私たちが地方・中小企業を支援していく上で、向き合うべきは地域の経営者さまです。現場の社員が「地域のオーナー経営者さまの解像度」を高められるよう、リアルな感謝や課題の声を直接届けたいという想いで企画しました。

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【あわせて読みたい】2026年度社員総会特集「Make it REAL~想いを現実に~」
https://www.sold-out.co.jp/magazine/professional/20260514
 

── 総会で生まれた高い熱量を、一過性のものにせず、キープし続けるために意識していることはありますか。

関谷:当日だけで終わらせないことを大切にしています。開催前には、全社会議やSlackの総会専用チャンネルで情報を少しずつ出しながら、「いよいよ始まる」という熱量を高めていきます。開催後には、SOGアワードで受賞した方を招いた公開インタビューなどを通じて、彼らがどのようなプロセスで成果を出したのか、日々の業務のヒントになる「リアルな声」や「仕事への想い」を社内へ届けています。

MVPや新人賞を受賞した方は、SOGの模範となる存在です。チャレンジャーを可視化し、組織の次なる挑戦へと繋げる「メッセージの伝播回路」を意図して作り続けています。

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※25年度の公開インタビューのサムネイルと実施した際の様子
 

生成AIで、広報の仕事はもっと広がる

──今年の社員総会では、生成AIを活用した動画制作にも挑戦されたそうですね 。

畠中:2025年下期からAIクリエイターを目指すプロジェクトをチーム内でスタートしました。約3か月間、全8回のプログラムを受け、最終的には社員総会に向けて、メンバーがそれぞれ1本ずつ動画を制作しました。これまでは外部パートナーへ外注していたクリエイティブ領域をインハウスに移行し、広報の機能・職能を拡張することが狙いでした。

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パートナー講師 :メディアエンジン株式会社 https://media-engine.jp/


岡田:一般的な映像制作とは異なり、生成AIでの動画制作は、世界観、カメラワーク、光の当たり方、質感、時間の経過にいたるまで、すべて「プロンプト」で厳密にコントロールする必要があります。自分のイメージを的確に言語化できなければ、質の高い映像は出力されないため、広報が普段から磨いている「言葉にする力」が、そのままAI時代のクリエイティブスキルに直結するという確信も得ることができました。

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──クリエイティブの領域以外にも、日常の広報実務においてどのようにAIを実装していますか。

岡田:ニュースリリースの作成プロセスを大幅にアップデートしました。従来は、現場の担当者からヒアリングし、数回やり取りを重ねて原稿を作っていましたが、現在は「リリース作成特化型AI」を活用しています。現場がフォーマットに沿って問いに答えるだけで自動的に初稿が完成する仕組みです。 そこから、我々の方でSOGらしさを加えたり、社外にどう伝えると魅力的に見えるかを考え最終稿を作ります。初稿づくりの工数が削減されたことで、本来時間をかけるべき部分に集中できるようになりました。

関谷:私は、企画の「壁打ち相手」や「1on1の思考整理」として日常的にAIを活用しています。AIを活用してあらかじめアイデアの解像度を高めておくことで、ミーティングの生産性が飛躍的に向上しました。他にも、社員総会などで発生する大規模な出欠管理や、リマインド業務の自動化(プロセスの仕組み化)にも挑戦しています。広報は4人で約600人の社員に向き合っていますが、少人数でも広報活動の質を落とさずに運営できる形を目指しています。

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※実際に生成した絵コンテ
 

担当領域を越えて動く、ソウルドアウトグループの広報チームの強さ

──専務カレッジや社員総会をはじめ、広報チームの取り組みはかなり幅広いと感じます。こうしたプロジェクトを進めるうえで、チーム内ではどのように役割分担をしているのでしょうか。
 

岡田:明確に縦割りで分かれているという感覚はあまりありません。もちろん担当領域はありますが、インナーだから社内だけ、アウターだから社外だけ、という枠は越えています。
チーム全員がステークホルダーを意識しているので、その先にいる人にどう伝えるかを共通認識として持ちながら動いています。

畠中:社員総会のような大きなプロジェクトでは、タスクが300個超に及びます。担当者を立てながらも、「これは関連しているから私がやります」「ここは〇〇と一緒に確認した方がスムーズだからやるね」と、お互いの状況を把握し、カバーし合う連携とオーナーシップを持っている点が、このチームの強みだと思います。

関谷:よく畠中さんから「ゴールイメージを想像して足りないものは何か?この人はどうやって動いている?」などと問われることがあります。過去のデータや社員の声を活かすことはもちろんですが、私たちはうまくいっている状況や現場で起こりうるイレギュラーを『妄想(シミュレーション)』するんです。こういったリスクマネジメントも、300を超えるタスクを少人数でミスなく回せる理由かなと思います。

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※26年度総会のタスク管理表

──最後に、ソウルドアウトグループ広報チームが目指す、これからの姿を教えてください。 

畠中:社内外にファンをつくるという軸は変わりません。そのうえで、広報の仕事を従来の枠に閉じず、会社にとって今必要なことに挑戦できるチームでありたいです。

経営の想いを受け取り、社員やステークホルダーに伝わる形へ翻訳する。そして、社員一人ひとりが誇りを持ち、会社のファンになり、外にもその熱量が広がっていく。そうした循環をつくるために、これからも広報機能をアップデートし続けていきたいです。

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